大気環境学会誌
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研究論文(技術調査報告)
  • 山村 由貴, 廣瀬 智陽子, 山本 重一, 菅田 誠治
    2025 年 60 巻 2 号 p. 11-19
    発行日: 2025/02/21
    公開日: 2025/02/21
    ジャーナル フリー

    機械学習モデルを用いて化学輸送モデルの計算値と観測値との差(以下、バイアス)を補正することで、より迅速でかつ簡易な精度向上が可能となる。本研究では、バイアス補正のための機械学習モデルの構築法を報告する。学習に用いるデータの期間を1–3年で変化させ、機械学習モデルの1つであるニューラルネットワーク回帰モデルを学習させた結果、データの期間が長いほど、バイアス補正の精度が上がることがわかった。学習データの年数を増やすことで学習する気象特性と大気汚染のパターンが増えるため、より汎用性の高いモデルが構築できたと考えられた。機械学習モデルであるアンサンブル回帰、ニューラルネットワーク回帰と、単純な線形回帰とのバイアス補正精度を比較すると、いずれのモデルによる補正でも精度は向上したが、観測値80 ppb以上のデータに対して、線形回帰モデルは機械学習モデルよりも誤差が大きく過小傾向が強かった。また、アンサンブル回帰とニューラルネットワーク回帰の精度は同程度であった。高濃度の見逃しを低減するため、観測値が80 ppb以上で、かつ計算値が観測値よりも3割以上小さいデータに対して、重み係数を掛けてニューラルネットワーク回帰を学習させた。その結果、適切な重み係数を掛けたモデルで計算値を補正した場合、観測値80 ppb以上のデータが誤差3割以内に入った割合は、重みなしの71%から90%まで上昇した。

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