2006 年 27 巻 p. 233-244
「伝え合いたいこと」は人生や生活世界において,人が直面しなければならない具体的な表現課題の一つであり,認識と価値感情の主体としての自分に気づく小学校高学年児童にとって,まさに教育の適時性を備えていよう。かくてそれは,図画工作科における知性教育的内容の典型として意味を担ってくる。本稿ではまず第一に,その活路を新たに探るべく,題材構成をはじめとして具体的な指導法や指導過程などとの関連を理論的に考察し,そこで構築された仮説である実践的方法論の妥当性を見きわめた。第二に,それに基づいた題材実践を行うことで,その理論の現場における現実性や実効性を検証した。