美術教育学:美術科教育学会誌
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最新号
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  • 2019 年 40 巻 p. Cover1-
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
  • 2019 年 40 巻 p. App1-
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
  • 2019 年 40 巻 p. i-iii
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
  • 新井 馨
    2019 年 40 巻 p. 1-14
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    現代美術を美術教育へ取り入れた実践研究,あるいはその有用性や表現形式などの研究は数多くあるものの,目的とするところは多様である。そこで,本稿では現代美術の美術教育への取り入れに関する論文をとりあげ,研究の蓄積を整理し動向と課題を報告する。文献の収集方法と範囲は学術情報データベースCiniiによる検索を行い,対象年代は1958年から2017年とした。検索では「現代美術」「教育」をキーワードとして関連文献を収集した結果,100稿の論文が存在した。これらの論文を,年代別,対象者別,テーマ別に整理し課題を検討した。その結果,1.議論されるテーマに偏りがある,2.多くの実践や理論の対象に幼児・小学校の扱いが少ない,3.現代美術をどう取り入れどういった力が培われるかが明確でない,ことの3点が課題として明らかになった。
  • 1930年代末における視察旅行の意義と旅行に至る背景の解明を中心に
    新井 哲夫
    2019 年 40 巻 p. 15-33
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,欧米視察旅行(以下,欧米旅行)が久保貞次郎の批評家としてのキャリア形成に与えた影響と欧米旅行実現に至った背景を明らかにすることである。研究は,貞次郎が戦前・戦中に執筆した雑誌記事,同時期における貞次郎の実生活上の経験に関わる文献,戦後の回想記等を対象に文献研究法によって行った。その結果,欧米旅行が貞次郎の美術及び児童美術の批評家としてのキャリア形成に決定的影響を与えたこと,欧米旅行に至る背景については,エスペラント運動の経験と婚家の経済的支援が必須の前提条件となり,社会教育研究生の経験が自らの将来像を見直す機会を与え,それが大学院進学に繋がり,大学院時代に参加した日米学生会議における北米体験が欧米旅行実現の直接的な動因となったことを実証的に明らかにした。
  • 有田 洋子
    2019 年 40 巻 p. 35-50
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    戦後日本の教員養成大学・学部における美術教育学の人的制度基盤は,戦後の大学での教員養成政策が教養教育重視から教職の専門性重視へ転換していく過程で成立する。師範学校が教員養成大学・学部に移行しても美術科教育の専門性は意識されなかった。昭和39年から53年にかけての学科目「美術科教育」の設置は美術科教育の専門性を形式的に出現させた。ただ時代的な余裕から教官配置の遅れや所属教官の研究内容との不整合等はあった。昭和43年からの大学院美術教育専攻の設置は,文部省の委員会による美術科教育教官の論文業績審査があり,美術教育学の内容的専門性を制度的に保証した。最初は大学院設置に関して大学や教官の温度差やコンセプトの違いはあったものの,平成11年に美術教育専攻の全国設置が完了した。大学院美術教育専攻設置によって美術教育学の人的制度基盤は成立した。
  • 造形遊びと,絵や立体題材の比較を通して
    蝦名 敦子
    2019 年 40 巻 p. 51-63
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本考察は,子どもの造形活動と周囲との空間の関わりに注目し,造形遊びと,絵や立体題材の実践を比較して,表現領域(ジャンル)の違いからその特徴を抽出する。場所に固有の「場所の空間」と,造形活動によって新たに生まれる「造形空間」を分けて考察した。造形遊びでは「場所の空間」がそのまま「造形空間」に繋がり,開かれた空間である。子どもの空間に対する認識が造形活動によって美的に深められる。絵や立体の主題表現では「表したいこと」のイメージから美意識を働かせてつくる「造形空間」で,その自立した空間が,逆に「場所の空間」に働きかけていく。両ジャンルにあっては,作品のもつ空間の広がりの方向性は当初において異なる。しかし双方の活動とも図画工作科の表現には,空間との関わりが改めて密接に認められるのである。
  • 小学校,中学校,高等学校の授業比較分析から
    大泉 義一, 吉田 岳雄
    2019 年 40 巻 p. 65-79
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する継続研究である。本研究においては,小学校図画工作科,中学校美術科,高等学校美術科という異なる学校種段階の授業における教師の発話を比較分析することを通して,図画工作・美術科の授業の特性を実証的に明らかにしている。三つの対象授業を比較すると,学齢が上がるにつれ,授業で扱う概念が抽象的且つ高度になっていることを確認している。同時にそれに伴い,小学校対象授業では子供の表したいことに応じながらも,具体的な材料・用具と関連させた教師の発話が多く見られること,中学校対象授業では造形的な視点に着目させた生徒の問題解決を促す教師の発話が多く見られること,高等学校対象授業では,青年中期にある子供たちの自我の模索と確立に教師が関わる際の表現を通した対等性の重要性を見出している。
  • PF-NOTE を用いた教師のパフォーマンスの分析に関する一考察
    大西 洋史
    2019 年 40 巻 p. 81-91
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,図画工作科の授業における教師のパフォーマンスについての継続研究である。こ れまでに,パフォーマンスを構成する 8 つの要素を導出し,パフォーマンスを評価する方法 や効果的なパフォーマンスを探ってきた。また,パフォーマンスを窓口に授業を比較すること で,評価システムの効果を確認した。 今回の研究では,授業を行う教師のパフォーマンスについて,PF-NOTE を活用して参観者 45名の評価を記録した。次に,評価の高かった場面をトランスクリプトを用いて,参観者の 評価の観点を分析するとともにこれまでの研究の成果と比較した。そして,パフォーマンスの モデルや指標をつくるために PF-NOTE を活用することの有用性を確認するとともに,それと 対応させながら授業評価できる可能性を示唆した。
  • 大平 修也, 松本 健義
    2019 年 40 巻 p. 93-112
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,生活と芸術との関係をつくる協働的な芸術的行為を,現代芸術におけるアート実 践の性質と特性から定義し,芸術的行為に媒介された共感的対話の生成過程を社会的相互行為 の創造過程と位置づけ明らかにすることを目的とした。まず,社会的相互行為を創造するア ート実践に関連した現代芸術の11の様式の概観に基づき協働的な芸術的行為を定義した。次 に,これを事例分析の視点として,砂浜をつくり変える協働的な芸術的行為において,掘った 穴から現れた幼虫を契機に,人間と幼虫が共生する共感的対話が生成され,行為者たちの社会 的相互行為として創造されたことを,事例の相互行為分析と記録断片の記述分析により明らか にした。
  • その成立の背景と歴史及び国内外の研究動向の概況から
    笠原 広一
    2019 年 40 巻 p. 113-128
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は近年,国際的な美術教育研究において注目されるArts-BasedResearch(ABR)に基づく日本での美術教育研究の可能性について検討を行ったものである。 その結果,ABRの海外での研究動向を調査すると,近年の国際学会やABRを専門とする学会や部会が成立するなど,一つの重要な研究動向となっていることが分かった。次に国内での研究動向の調査から,日本では教育学や社会学における質的研究において2000年代初頭に紹介され,演劇や社会学での実践が先行していることが分かった。近年の国際的な教育政策の連動性の中では,こうした国際的な研究動向の検討も不可欠であり,美術教育ではここ数年に研究が始まった状況であり,今後の研究が求められる。また,海外での成立の背景と歴史を整理すると,人文科学や社会科学における質的研究の発展と,そうした質的研究が芸術の特性に着目することでABRの理論化と実践化が進み発展してきたことがわかった。新しい美術教育の実践理論としての可能性も示唆され,今後は日本の美術教育研究においても理論的,実践的に検討を進める必要性がある。
  • 片桐 彩
    2019 年 40 巻 p. 129-143
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,他者との関わりや相互作用を伴う映像メディア表現を「協働学習に基づいた映像メディア表現」と位置づけ,その教育的効果に関して,生徒の学習行動や社会的行動,人間形成に及ぼす影響の観点から明確にすることを最終目的とする。本稿では,研究の端緒として,協働の原理を概観し,高校生を対象とした協働学習に基づく「モバイルムービー」の実践とその教育的効果の検証に関する成果の一部について報告する。授業実践と並行して質問紙調査を実施し,学習に対する生徒の認知や考え方に関して分析した結果,生徒の学びの実態として「協働による内発的な学び」「他者からの触発による創造活動の促進」「他者理解」「個人志向」からなる4因子構造が示された。また,本実践の効果には,ポジティブな面とネガティブな面が存在することが実証された。
  • 要素の構造,参照源そしてシステム作動
    金子 一夫
    2019 年 40 巻 p. 145-156
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    著者は人間主義的美術教育論が児童生徒内面の現在性だけを基準として構想され,教師や教育内容等の要素が無いことを批判し,贈与交換システム論的美術教育学によるその克服を提案してきた。本稿の目的は,三つの論点の検討を踏まえて,贈与交換システムの要素の構造と参照源概念を検討・導入してシステム作動を解明することである。三つの論点とは拙論の1.教師中心的実践,2.学校と非学校の境界,3.科学的論理と感性的論理である。それらの検討を踏まえて,贈与交換システムの要素の構造,特に贈与交換が水平面でのサイクルであるのに対して学習者集団と教師の構造に垂直方向に蓄積・参照される参照源の概念を導入して,システム作動の立体的構造を解明した。
  • 評価を中心に
    小池 研二
    2019 年 40 巻 p. 157-170
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本論の目的は国際バカロレアディプロマプログラム(IBDP)の美術科について,1評価の特徴について文献調査,現場調査等から明らかにする,2イギリスGCE-AレベルのArt,CraftandDesignの評価目的の内容と比較し互いの特徴を明らかにする,ことで現在行われている高大接続改革に関連しIBDPの有効性を探る。IBDP美術科の評価課題は2つの外部評価と1つの内部評価であり,いずれも普段の学習内容がそのまま評価の対象となる。一方GCE-Aレベルは設定された2つの課題のうちの1つは統一問題であり,IBに比べより試験としての性格が強いことがわかった。双方共に高等学校における学習を大学入学資格に活用しているが,さらにIBは美術科を含めた教科を大学入試にいかしており,高大の学習のつながりや広範囲にわたる学力の育成という面で日本の教育にも有効であることを確認した。
  • 観念的自己から現実的自己への転換
    小口 あや
    2019 年 40 巻 p. 171-184
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,作品鑑賞時,中学生がどのように作品と向かい合う傾向にあるのかを明らかにするために行った。これまでの研究で,小学3年生から6年生は,作品世界に埋没する観念的自己と現実世界で客観的に作品を見る現実的自己の両方で作品と向き合っていること,鑑賞時はどちらかというと観念的自己が強く出ていることが分かっていた。今回の調査と鑑賞実践で,中学2年生から観念的自己が弱くなり代わりに現実的自己が強くなることがわかった。中学2年生からの変容は,他の研究分野での発達段階とも重なる。小学生に続いて中学1年生までは,作品世界に入り込んで作品を感受する観念的自己が強い。中学2年生からは作品をあくまでも現実世界に存在する物として感受する現実的自己が強くなる。それぞれの学年に合わせた指導をすることが教育方法論としては重要である。
  • 特別支援学級での実践におけるA児の言動の分析をもとに
    佐々木 奏美
    2019 年 40 巻 p. 185-201
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,図画工作科において,子供が主体的に人・もの・ことに関わり,自分の思いをもち,つくりつづけるための教師の支援についての研究である。本研究では,教師の支援の中の一つである題材に着目し,自分の思いをもち,つくりつづけるための題材の要件を明らかにすることを目的とした。まず,図画工作科の実践における抽出児童の言動を分析することにより,題材の要件の仮説を生成した。次に,それに基づいて開発した題材における抽出児童の言動を分析し,仮説検証を行った。本研究の抽出児童は,特別支援学級に在籍しており,人・もの・ことに対して主体的に関われないという特性がある。このように生きにくさを抱える子供たちの困難さを解消するための支援の方向性を見いだしたい。
  • アジアの美術教育に見るエスニシティの可視化
    佐々木 宰
    2019 年 40 巻 p. 203-215
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    多民族・多文化社会における美術教育の特徴的な機能として,「エスニシティの可視化」 と,それを通した「自国の美術文化の創出」というモデルを想定した。アジアの多くの国は多 民族・多文化国家であり,特に東南アジア諸国においては,それぞれの民族集団におけるエス ニシティと,国民としてのナショナリティの二重の帰属意識が求められる。複数のエスニシテ ィをどのようなバランスで扱うかは国の政策によって異なるが,インドネシア,マレーシア, シンガポールでは学校教育を通して民族の文化的な価値観を育成しており,そのために視覚や 触覚を通して感性に働きかける美術教育が一定の機能を果たしていることが確認できた。さら に,エスニシティはもとより国民としての文化的価値観を共有するために,「自国の美術」の 創出が試みられており,その意識形成に対しても,美術教育が機能していることが確認された。
  • 隅 敦
    2019 年 40 巻 p. 217-235
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,「実技教科における導入部の教員の発話の質と量が,展開部における児童の活動を支えている」と仮説を立て,若手教員の1年次の実技教科授業のビデオ記録を基に質的データ分析ソフトを用いて分析した。その結果,「導入部充実型」と「導入部簡略型」に分類され,たとえ導入部の発話が簡略化されていたとしても,展開部において,評価観点に関わる「指示」や「質問」等の発話を行うことで,児童の活動を促し,「同意」の発話で評価が行われる場合があることなどが分かった。また,図画工作科においては,「導入部充実型」の授業を前提として行うことが必要であることが確認でき,教員養成の段階で導入部で有効な発話をすることができるように,講義内において模擬授業等を行いながら指導していくべきだと考えた。
  • 愛媛県手工教育史(第三報)
    髙橋 敏之
    2019 年 40 巻 p. 237-254
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本論は,阿部七五三吉(1936)による「手工教育基礎建設の曙光時代」における1907(明治40)年の「改正小学校令」から1911(明治44)年の「改正小学校令」までの4年4か月間を対象期間として,愛媛教育協会機関誌に見られる手工教育関係史料の調査から,愛媛県の尋常小学校及び高等小学校における手工科の成立及び展開過程を探った。その結果,手工科の性格が,再び実業教育科目としての教科特性として議論されることになった。その背景には,日露戦争後における第一次世界大戦へと向かう国力増強の思想があった。一方,愛媛県師範学校附属小学校は,『小学校教師用手工教科書甲乙丙丁』に準拠しつつ,独自の指導計画を加味して,児童の学習指導をしていた。
  • 北斎『富嶽三十六景 凱風快晴』と片岡球子『山 富士山』をめぐって
    立原 慶一
    2019 年 40 巻 p. 255-267
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    第一の局面では,最高水準の美的感受体験である「趣味→趣味」の二項連携がより多くなされる方法論は,択一選択法と双方選択法の一体どちらかの方であるのか。美的特性感受の実態を捉え,両方法論の優劣を実践的に究明するべく,それらに美的特性感受の回数という物差しを適用した。とくに価値特性としての趣味特性が感受された数量の違い,という観点から両方法論を対比させる。かくて択一選択法の優越性を見極めた。 第二の局面では,両方法論のそれぞれの場合にあって,作品の解釈と価値判断の実質がもとより達成されるが,とくに教育効果の差違的な様相に着目した。すなわち質的統一をにらみながら類的特性のあり方を検討する,という類型化による考察が試みられる。 実践的方法論としての有効性をまとめてみると,美的感受体験については択一選択法の方がより多く達成させるが,解釈と価値判断に関しては双方選択法の方がより大きく促進させる。こうした知見が得られた。
  • 表象能力の発達過程に着目して
    辻 大地
    2019 年 40 巻 p. 269-281
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,園の保育内容(造形表現)における描画題材について,子どもの表象能力の発達過程の特性に基づいた内容を理論的に設定して提示する題材研究である。 研究の結果,幼児期前半期(1歳半ころ~4歳ころ)と幼児期後半期以降(4歳ころ~)の表象能力の発達の質的な変化に対応した,描画題材の内容の設定が必要であることが明らかになった。また幼児期前半期では表象能力が目の前の事物に依存しているため,目の前にある形や色,素材などに直接関わることでイメージをふくらませる題材や,今・ここの目の前の出来事として遊べる題材が適していること,そして幼児期後半期以降では言葉を使って考えることができるようになるため,表象活動が目の前の事物や出来事だけに依存しない言葉で考えることを楽しむ題材や,今・ここの自分とは異なる他者や過去の自分の立場になって考えることを楽しむ題材ができるようになることが示唆された。
  • 教師のとらえ方で変わる「造形遊び」の授業
    寺元 幸仁
    2019 年 40 巻 p. 283-294
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,教師自身が遊ぶこと自体を目的とした体験を経ることで,「造形遊び」の教育的意義に気づくことをねらった「遊びなおし研修」に取り組み,参加者全体に見られる効果と課題を示してきた。本論文では,これまで行った3回の研修会の効果と課題をまとめ,研修に参加し教育現場で「造形遊び」を実践した3名を対象に追調査を行い,参加者個人から考える「遊びなおし研修」の効果について示した。分析手法として,質的データ分析手法SCATとインタビュー内容をテキスト化し分類する2つの手法を用い,「遊びの特性を実感する」「子どもの視点の獲得」「評価に対する疑問の課題化」等の「遊びなおし研修」の効果を示した。また,子どもと教師が一緒に遊ぶ機会を設定するなど,今後の研究に向けた展望を得た。
  • 個体化のプロセスを支えるイメージ経験として
    長井 理佐
    2019 年 40 巻 p. 295-307
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本稿は,メディアに溢れた現代の生がもたらす感性や心身のありように対し,鑑賞が果たすあらたな役割を明示することを目的とした。まずは,感性論やメディア論をもとに,日々のメディア経験固有の問題を分析し,視覚的言語的情報の日常的受容が感性や知性に与え得る影響,個人がユーザとしてプロファイル化され,注意や欲望の把捉によりコントロールされる状況,人気の動画や話題への注目の裏面で生じる他性に対する無感覚性などを論じた。問題の所在を集団的歴史を継承しつつ同時に他性へと開かれた個体化プロセスの阻害と捉え,結論として,個体化を支える場として,対話を用いた鑑賞が有効である理由を明らかにし,他者や他性へと開かれた美術メディアの特質を生かすための方法を鑑賞活動の素案と共に提起した。
  • 室蘭成徳尋常高等小学校訓導久慈治安の論文
    根山 梓
    2019 年 40 巻 p. 309-322
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本論文は,自由画教育運動が展開する前の北海道における図画教育現場の状況を明らかにするための手掛かりを得ることを目的とし,大正4年(1915)に札幌師範学校を卒業した久慈治安による論文に基づき,次の四点を確認するものである。 (1)大正6年発表の論文で,久慈は臨画を最終的な目標とする教員の姿勢を問題視している。 (2)大正7年3月発表の論文で,久慈は「教則文」を「甚だ朦朧として明かでなし」とし,『新定画帖』の編纂方針を「大風呂敷」だとしている。 (3)大正10年発表の論文で,久慈は,自由画教育運動前の道内の図画教育現場では「間に合せの授業」が行われていたと評している。 (4)大正11年発表の論文によると,久慈は『新定画帖』発行後の道内の図画教育現場で,教員の熱意の低さと共に,同書の「指導法に対する疑惧」があることを感じていた
  • 著書と雑誌記事の分析を中心に
    平野 英史
    2019 年 40 巻 p. 323-337
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    小論では,藤五代策(ふじ・ごよさく)による手工科と理科とを横断する教材の研究過程を分析・考察した。その結果,以下の3点が明らかになった。第1は,理科の教科書に準拠した手工科教材の開発である。従来は,理科の実験器具や物理法則による玩具などの教材は存在したが,教科書を参照することはほとんどなかった。第2は,幼児教育における教材の提案である。それまでの理科にかかわる手工科の教材は,尋常小学校高学年から高等小学校および中学校に課されることが多かったが,幼稚園の手技から扱える教材を検討した。第3は,工業への就業を目的とした教育方法の提案である。学校教育の範疇を超えて,工業における製品開発力を育成する課程を実践した。
  • 憲法上の要請と補完性の原理
    藤原 智也
    2019 年 40 巻 p. 339-349
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    学習指導要領の法的拘束力や強制性は,教職課程コアカリキュラムと教職課程認定によって大学における教科の教職関連授業にまで及ぶようになっている。このような現況にあって,学習指導要領を教育課程の基準性から原理的に遡って検討した。そこでは,憲法上の要請としての補完性の原理をもとに,国際比較における日本の学習指導要領の位置付けが中央統制的であること。文部科学省(行政府)は学習指導要領の法的拘束力や基準性を主張しているが,最高裁(司法府)は大綱的基準,衆議院憲法調査会事務局(立法府)は指導・助言的基準として解釈しているという三権間の相違を明らかにした。その上で,学習指導要領の図画工作と美術の分析を行い,内面介入の問題,教育方法に関する記述の細目化の問題,造形性によらない同時代のアートやデザインがスポイルされている問題を指摘した。
  • 鑑賞活動「デザインで変える現在と未来」の実践における ESD の観点
    松井 素子
    2019 年 40 巻 p. 351-364
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    2015年の第70回国連総会で,17分野(貧困や飢餓,ジェンダー平等など)における「持続可能な開発目標」(SDGs: Sustainable Development Goals)が採択された。「持続可能な開発のための教育」(ESD: Education for Sustainable Development)は,それらの目標達成にもつながる「新たな価値観や行動を生み出す多様性と包摂性のある社会の実現を目指す教育」である。中学校の美術科の現行教科書には,ESD題材に分類,相当する鑑賞・表現活動の題材がある。そこで,中学3年生への鑑賞活動の実践「デザインで変える現在と未来」において,実践前後の各ワークシートの自由記述欄への感想をテキストマイニングで分析し,変容の傾向を解析した。生徒が美術科のESD題材実践によって「持続可能な社会づくりにかかわるための自分なりの視点」を持てたことが明らかになった。
  • 色彩感情効果学習とカラーシステム学習による比較から
    松浦 藍
    2019 年 40 巻 p. 365-376
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    This paper considers the influence of the emotional effect of color on the expression of imagination. The author chose 213 first grade students at a junior high school to which the author belongs and separated them into two groups: one group learned to perceive the emotional effect of color, and the second systematically studied the color system. Over four weeks, they were then told to produce artwork using the theme of the character and mood of the other students. The way the students evaluated their own and each other’s work, the phrases used to explain their evaluations, and the number of colors used were examined to investigate the trends in the creative ingenuity of the students. We found that students who perceived the emotional effect of color had a stronger tendency to express their imagination and students who had a systematic understanding of color tended to use more colors.
  • 「ルーブリックに基づく授業設計シート」の開発と活用による指導実践を 通して
    森田 亮
    2019 年 40 巻 p. 377-392
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,重複障害児の美術科指導に求められるPDCAサイクルに基づく指導目標設定の課題として,1「重複障害児の障害特性を踏まえた指標の創出と設定手続きの明確化」,2「実態把握のためのMT(Main-teacher)とST(Sub-teacher)の連携体制の構築」を挙げ,その解決を目指し「ルーブリックに基づく授業設計シート」を開発した。 指導記録とSTの談話の定性的な分析により,両課題に対するシート活用の有効性として,次の2点が示された。課題1に対しては,各生徒の学習状況を踏まえた学習グループ独自のルーブリックを構築するとともに,それを出発点とした指導目標と手立ての設定手続きを視覚的に示す。課題2に対しては,美術科のねらいや内容を明示されたSTが,指導への参画意識を高め,学級担任としての独自性を生かした情報をMTへ提供する。
  • 対中南米造形美術教育の技術移転に関する質的分析
    山田 猛
    2019 年 40 巻 p. 393-410
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー
    日本の国際協力における造形美術教育・対中南米基礎教育分野にフォーカスし,その技術移転の可否に分析視点を設定し,帰納的に導き出した報告書記述を分類する質的分析を中心にアプローチを行った。日本の技術協力は,ODA実施機関であるJICAによる技術移転を目的としている。青年海外協力隊・シニア海外ボランティアの派遣職種“美術”の中南米派遣者を研究対象とし,技術移転に至る協力活動上の諸要因を多角的に分析・考察した。これまでの研究で得た知見として,技術移転可否を分ける要因として活動半ばにおけるボランティア自身の変化があるが,本論では,職務内容外活動を積極的に行うことがその誘因となり,教員の変容や,それを後押しする学生・子どもの変容,さらに保護者の理解や変容に繋がることが明らかとなった。国際協力活動による効果や,ボランティアの約1/3が技術移転に至るが,その造形美術教育協力の構造や,地域文化への配慮の重要性が新たな知見として得られた。
  • 2019 年 40 巻 p. 412-413
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
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  • 2019 年 40 巻 p. 414-416
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
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  • 2019 年 40 巻 p. 417-418
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
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  • 2019 年 40 巻 p. 419-421
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
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  • 2019 年 40 巻 p. 422-
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
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  • 2019 年 40 巻 p. 423-424
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
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  • 2019 年 40 巻 p. 425-
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
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  • 2019 年 40 巻 p. 426-
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
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  • 2019 年 40 巻 p. App2-
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/28
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