美術教育学:美術科教育学会誌
Online ISSN : 2424-2497
Print ISSN : 0917-771X
ISSN-L : 0917-771X
最新号
選択された号の論文の44件中1~44を表示しています
  • 2018 年 39 巻 p. Cover1-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. App1-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. i-iv
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 幼児や小学生の表現方法の獲得
    阿部 宏行
    2018 年 39 巻 p. 1-13
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究は,これまでに「食事の風景」の絵をもとに,小学校時代6年間の空間表現の表し方について導き出し,本学会誌阿部(2014)において論述した。そこでは子ども自らの主体的な表現の獲得があり,友だちなどとの交流を通して獲得される学びの様相であることが確認できた。そこでは,子ども自らが備えている資質・能力を発揮できる環境や条件を基にして,子ども自らが表現の方法や意味を学んでいく姿を検証することが課題となった。本稿においては幼稚園と小学校低学年の活動の動画から学びの姿を読み取ることを通して,子どもの活動のプロセスに多くの表現方法の獲得があることを検証した。 1幼稚園児・小学生低学年の子どもが,自らの知識や技能を基に,新たな課題に対して周囲の人やものの情報を,取り込んで新たな知識や技能を獲得する活動の様相を検証する。 2美術・図画工作などにおいては,芸術教科特有の知識や技能の獲得があり,新学習指導要領の目標に示された「知識及び技能」との関連も含め,「知識」と「技能」分離して指導することなく一体的に指導することの重要性を論述する。
  • 有原 穂波, 萩生田 伸子, 小澤 基弘, 八桁 健
    2018 年 39 巻 p. 15-25
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本稿では,図画工作科における指導・評価に際した留意点について考察を行う。そのため,児童の描いた絵について美術教育の専門家を対象に5つの観点から挙げられた10対の形容詞を用いたSD法による質問紙調査を実施し,その結果をもとに考察を進めた。分析としては,主に回帰分析と,調査の回答から作成した各絵のプロフィールの分類・比較を行い,回答の傾向について検討を試みた。その結果,全体として専門家による評価は一致する傾向にあるものの,絵の造形的な特徴(色使いや線の太さなどから見取りやすい)以外から判断すると思われる項目については,回答にばらつきがみられることがわかった。これらから,図工科における評価基準の明確化や表現の多様性を認め,児童の創造を適切に見取るための新たな構造をもった評価の在りかたを考究していくことが必要だと考えられる。
  • 安斎 勇樹, 平野 智紀, 山田 小百合, 塩瀬 隆之
    2018 年 39 巻 p. 27-38
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究は,視覚障害者を対話のパートナーとした場合の美術鑑賞において,鑑賞の深まりのメカニズムについて明らかにした。実際に視覚障害者をサブナビゲイターとした対話型鑑賞の実践を行い,発話データの分析を行ったところ,視覚情報を共有出来ないがために,美術作品に関する精緻な言語化が動機付けられ,それに伴って精緻な観察が促されることが明らかになった。また,そうして説明された情報に対して,視覚障害者が素朴な疑問を繰り返し投げかけることによって,作品に対する解釈の前提が揺さぶられ,新たな作品の見え方が導かれていたことが明らかになった。また,考察の結果,視覚障害者を対話のパートナーとした美術鑑賞を実施する上では,事前に観察の結果を対話によって共有しやすい作品を選定すること,そして当日は作品鑑賞の時間を十分に確保し,鑑賞中には作品の細部だけに焦点が当たりすぎないようにナビゲイトを工夫するなどの注意点が示唆された。
  • 各校種間における指導困難事項の差異について
    池田 吏志, 児玉 真樹子
    2018 年 39 巻 p. 39-49
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,特別支援学校の各校種間における美術の指導困難事項の差異を明らかに することである。調査では,全国の特別支援学校に勤務する美術の主任教員600名分を分析対 象とした。指導困難に関する32問の質問項目に対し視覚・聴覚・肢体不自由・知的・病弱の 5 校種の評価得点を算出し,校種による分散分析を行った。分析の結果,聴覚特別支援学校とそ れ以外の校種で困難さに有意差がみられた。特に,肢体不自由特別支援学校は指導全般にわた る困難を抱えており,聴覚特別支援学校では美術の指導にそれほど困難を感じていない現状が 明らかとなった。
  • 美術と場所の関係性を巡って
    市川 寛也
    2018 年 39 巻 p. 51-63
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,地域に根ざした美術教育(CBAE)の理論的な背景を明らかにするために,現代美術における「コミュニティ」に焦点を当てる。特に,ミウォン・クォンが著書の中で引用した「コミュニティ・スペシフィック」という概念を軸に論を進める。従来の「サイト・スペシフィック」が空間との視覚的な関係を重視しているのに対して,「コミュニティ・スペシフィック」では既存の共同体との対話に基づく関わりに力点が置かれる。その手法の一つとして,日常の延長線上に「場所」を開くという形式がある。そうした場が開かれると,興味関心を共有する個人によって動機縁的なつながりが生まれていく。その結果として,既存の地域社会を基盤にしつつも,固定化された関係性に縛られることのない「もうひとつのコミュニティ」が出現する。本論を通して,アーティストによる場の創出と,それを受け入れるネットワーク構築という二つのアプローチの複合的展開の意義を示した。
  • 図画工作科,算数科,社会科の授業比較分析から
    大泉 義一
    2018 年 39 巻 p. 65-78
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究は,図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する継続研究である。本研究においては,全科担任教師が実践する図画工作科,社会科,算数科の一単位時間の授業で発せられる授業者の発話を比較分析することにより,図画工作科の授業の特性について検討している。まず,第3教育言語を中心とした発話の出現様態,そして特徴的な発話のエピソード分析,さらにはテキストマイニング分析を通して,子どもの学習活動に対する授業者の関心のあり様,加えて授業における子どもの主体性と教師の意図性との緊密な関係性が,図画工作科の授業の特性であることを見出している。そしてそうした特性をふまえた授業を行うために,教師の発話と「造形的な見方・考え方」を照らし合わせて検討することの有効性を確認している。
  • 中学校美術科学習内容の明確化による現状改善
    小倉 千絵
    2018 年 39 巻 p. 79-88
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は筆者が考案・実践してきた系統的ミニマム教材「アートカード」の効果を実証することである。まず,同教材考案の背景として,筆者が教育現場で認識する中学校美術科での子どもの実態と時間数の少なさ,そして指導内容の曖昧さを指摘する。そこから系統的ミニマム教材による美術科学習内容の明確化と系統化を構想し,発想系,技法系,表現系,鑑賞系の4系統で構成した,中学校3年間の美術科学習内容の系統を完成した。さらに,その学習内容を24題材にした系統的ミニマム教材「アートカード」を開発した。「アートカード」は,1題材につき1学習要素,1時間完結,ポストカードサイズ程度,キャッチーな題材名,24カードをカードリングでファイリングする。「アートカード」の実践によって生徒全員の学習・理解実現と意欲向上,多様な展示可能性,ファイリングによる生徒毎の多様な学習内容の可視化が確認できた。
  • 美術教育実践の贈与交換・相互交感・純粋贈与の三層構造解
    金子 一夫
    2018 年 39 巻 p. 89-100
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本稿は戦後日本の過剰な人間主義的美術教育言説を克服するため,贈与交換システム論的な美術教育学の再定義を提案する。まず,美術教育学を美術教育実践,反省知・実践知命題群,美術教育科学・美術教育実践学の相互関係と規定した。次に美術教育実践の美術教育科学的考察を贈与交換システム論の観点から行い,美術教育実践が形式的に贈与交換,実質的に相互交感,本質的に純粋贈与という三層構造から成ることを明らかにした。さらに美術教育における成熟の問題,実践知命題群から美術教育実践学へ至る道筋を示した。
  • サウンドロゴ制作による授業の検証
    金城 満, 知名 伸
    2018 年 39 巻 p. 101-112
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    工業高校デザイン科において,音楽や映像作品等マルチメディアの学習の必要性が高まっている。本学科においても,2年実習「DTM」(DeskTopMusic),3年実習「Movie」を行なっており,生徒は,視覚・聴覚の両面からマルチメディアに関する知識や技術を学んでいる。しかし聴覚的分野に関しては学習の重要性が高いにもかかわらず,従来の視覚的分野の学習比率が高いため,学習時間,教材研究,指導教員の不足が課題としてある。本稿ではこれらの改善のために,聴覚的分野の実習の無い本学科1年次向けの電子書籍型教材を作成して,録音や編集ソフトの基礎的技術を学ばせた。これによりサウンドロゴ等日常の音に対する興味関心が高められ,聴覚的分野の基礎となるDTMの知識と制作技術の向上が図れた。
  • 北海道の離島の中学校における実践研究を通して
    工藤 雅人
    2018 年 39 巻 p. 113-125
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,教育の機会均等の原則に基づき,離島等のへき地や小規模校において,中学校における美術の授業の質を保障し,豊かな情操を育む美術教育を行うために,ICTを活用した遠隔授業が有用であることを実践を通して検証するものである。特に人口減少が他の地域に比べて進んでいる北海道においては,都市部と郡部における生徒数の格差は大きく,美術の免許を有する教員がいない地域における授業の質の確保を図ることは喫緊の課題である。 本論文では,北海道における美術の免許を保有する教員の配置状況から,質の高い美術の授業をICTを活用した遠隔授業により実現することの必要性を述べるとともに,北海道教育委員会が離島の中学校を指定校として平成28年度に実施した「ICTを活用した遠隔授業導入にかかる調査研究事業」にて実践した取組により効果を検証し,その結果,美術科の教科の特性に応じたICT環境と,質の高い鑑賞の授業により生徒に確実に資質や能力を身に付けることが可能であることを明らかにした。
  • 茨城県K市における教員へのアンケート調査からの考察
    光山 明
    2018 年 39 巻 p. 127-140
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究プロジェクトは,小学校図画工作科と中学校美術科の接続性や連続性に着目し,小中連携による美術教育の可能性を検討することを目的としている。本稿は研究成果の第2報として,茨城県K市で図画工作科・美術科を担当している小・中学校教員を対象としたアンケート調査を手がかりに,図画工作科と美術科が連携した教育を推進するための課題について考察した。 小・中学校教員214人分の回答を基に,教員の小中連携に対する認識や指導意識及び指導の実態を分析し,異なる学校種同士が相互理解や協力を通して,小中連携を推進するために必要な取組について検討した。 その結果,小・中学校教員が,生涯に渡る美術教育の構想と発達の段階を生かす視点をもち連携教育への意識を高めること,小・中学校が合同で実施する研修や中学校教員が小学校で授業を行う「出前授業」の実施によって,小・中学校教員の相互理解を深めることなどを具体的な課題として指摘した。
  • グループ・インタビューに基づく質的分析および質問紙調査による量的検証から
    佐藤 絵里子
    2018 年 39 巻 p. 141-153
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究は,日本の保育者養成校における造形教育の在り方に関して,学びと課題および育成すべき学生の資質・能力に焦点を当て,実地調査を通して,保育現場の要請を明らかにした成果である。研究の方法としては,元保育者を対象とするグループ・インタビューに基づく質的分析と,その結果を反映させた量的調査を用いた。具体的には,M-GTAによる分析結果と現役保育士を対象とした質問紙調査によるその検証を通して,実習を典型とした実践知を獲得する学びや喜び・驚きを伴う遊びの経験が重視されていること,状況・子どもの育ちを見取る感性や,それらの変化に柔軟に対応する力が中核的な資質・能力であると見なされていること等が明らかとなった。
  • 対象を読み解き整理するための映像
    佐原 理
    2018 年 39 巻 p. 155-165
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    美術教育研究における通時的な視点から,映像メディアの役割について先行研究を交えてまとめた。その上で本論では,「対象を読み解き整理するための映像」という映像メディアの教育観点によって実践されていくために,その一端を担う白黒写真を活用した授業実践を考案し,その活動から美術教育上の利点について論考を深めた。白黒写真のカラー化実践は色彩を再現することを通して過去の事象へのリアリティを向上させ,興味・関心を深め,対象を深く読み解くことにつながる。特に白黒写真のカラー化とインタビュー調査の2軸を実践に取り入れることは,「対象を読み解き整理するための映像」の実践において社会コンテクストの読み解きに十分に効果的である。
  • 実技教科としての位置づけを踏まえて
    隅 敦
    2018 年 39 巻 p. 167-183
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    団塊の世代の教員が大量退職し,全国で若手教員が増え続けており,その育成は急務である。しかし,“主要教科”に比して図画工作科を含む“実技教科”の授業力向上の研修の機会は少なく,いかにして若手教員が実技教科を指導しているのか,課題を克服しながら実践をしているのか,その実態を把握する必要がある。そこで,若手教員の授業ビデオ記録と聞き取り調査を行い,それらを分析した上で視覚化し,浮かび上がった内容を整理した。その結果,教員養成段階で求められる要件として,授業ビデオ記録から「授業における適正な時間配分」を認識させることや「子供との関わりを重要視した発話の吟味」が必要なこと,聞き取り調査から「熟達教員による示範授業の実施」,「実技教科の指導用資料の配備」,「ICT機器の活用方法についての指導」,「教科書及び指導書に基づいた指導方法」の教授や「実技教科で求められる技能」を修得させることなどが整理できた。
  • モデルの有無による記憶表象の検討
    髙橋 文子
    2018 年 39 巻 p. 185-196
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究は,基礎的な表現力を育成することを目的とした大学生等対象の記憶画プログラム開 発において,記憶画の形態を出入力する能力である「形状ストック」に着目し,改めてイメー ジの表象に不可欠な感性レベルの統合を確認し,作品評価を「形象」と「感性」の 2 構造で 行う教育的可能性を実証した。 1 )形状ストックの指標設定に当たっては,量的・分析的な 「形象レベル」のみでは不十分であり,質的・包括的な「感性レベル」を想定することが必 要であった。 2 )モデルのある長期記憶の「記憶スケッチ」と「見て描くスケッチ」の対比 は,筆者の設定した 5 段階の評価指標では,平均3.2から4.6となり,一般的な形態から特殊な 形態への移行を示した。 3 )モデルのない自伝的記憶を表す記憶絵本において形象は象徴的 に選択され,感性レベルの主張を強く確認した。
  • 漫画の歴史から中世美術「キコティッサの聖母」の実践を通して
    髙林 未央
    2018 年 39 巻 p. 197-208
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
     本研究は,美術教育における漫画の扱い方について,鑑賞教育への導入という視点から提案し,西洋の中世美術の鑑賞へ応用することを検討,実践し,その有用性を検証するものである。  はじめに,漫画を構築する基本的な要素は西洋で発達するが,その根底にコマ割りやフキダシといった技法の片鱗が見られる西洋の中世美術があること,幕末から明治期にかけて日本の漫画の土壌となるような文化と融合,発展し,現在のストーリーマンガに連なることを述べた。  次に,西洋中世美術と漫画との関わりを明らかにし,漫画の技法の歴史を鑑賞の導入手段とし,さらに漫画を描かせることにより,西洋の中世美術をより親しみ,作品を深く鑑賞するための授業を考案した。筆者が作成したワークシートを用いて現場の教員と共同で実践することで,授業案やワークシートの検証を行い,漫画および漫画の読み書き能力が鑑賞の糸口となり,より深い鑑賞につながることを示した。
  • 岡本太郎作『森の掟』の鑑賞(中学2年生)へのフィードバック鑑賞を事例として
    立原 慶一
    2018 年 39 巻 p. 209-222
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
     小論は中学2年生が,岡本太郎作『森の掟』と東山魁夷作『白馬の森』の違いや共通なところを知的に探ったり美的に感じたりする場面で,一体どのような叙述がワークシートで展開されるのか。さらにそれらを踏まえて最終的な主題把握の場面で,「情感」それとも「意図」が感受されるのかに着目し,その因果関係を探ろうと思う。  その違いを決定づけるのは,基本的に美的感受能力そのものであることが本研究によって判明した。もとよりそれは作品の造形的特徴から感受された,美的特性の回数をカウントすることで序列化される。高回美的特性感受組の方が中回美的特性感受組や,低回組よりも多く主題を情感として感受できるのである。
  • 札幌区東北尋常小学校訓導山口庸矩の論文
    根山 梓
    2018 年 39 巻 p. 223-236
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本論文は,自由画教育運動が展開する前の北海道における図画教育現場の状況を明らかにするための手掛かりを得ることを目的とし,大正2年(1913)に北海道師範学校を卒業した山口庸つね矩のりが,札幌区東北尋常小学校訓導として道内の教育雑誌に投稿した五編の論文に基づき,次の二点を確認するものである。 (1)大正6年(1917)に『北海之教育』に掲載される四編の論文と,大正9年(1920)10月に『北海道教育』に掲載される論文には,臨画に偏る図画教育のあり方を問題視する山口の姿勢があらわれている。 (2)山口は札幌が採用していた国定教科書『尋常小学新定画帖』について,「編纂の精神」と教科書自体を分けて考えていた。山口は五編において一貫して同書の「編纂の精神」すなわち教育的図画の概念を,教授の準拠としているが,その解釈に難しさを感じている。教科書自体については,大正6年(1917)の時点で,扱いづらさを感じている。
  • 図工の授業に関して教師が抱える困りごとのリサーチから
    萩生田 伸子, 小澤 基弘, 有原 穂波, 八桁 健
    2018 年 39 巻 p. 237-248
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    現場の小学校教員が図工の授業をおこなうに際してどのような困りごとや悩みごとを抱えているのか実情を具体的に把握するために,はじめに小学校教員20名に対してインタビューをおこない,次に89名に対してアンケート調査をおこなった。結果として,教員歴が短い教員ほど授業に関して悩んでいる事柄が多く,悩みの程度も強い傾向がみられた。また使い方を知りたい画材や用具の種類が多い傾向もみられた。全体としては,画材の使い方や表現技法の指導,評価の方法について知りたいという意見が多かった。とくに児童の作品の評価をどのようにおこなえばよいのかという悩みが多く見られた。
  • 北陸地方における世界児童自由画展覧会を中心に
    蜂谷 昌之
    2018 年 39 巻 p. 249-261
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本論文は,北陸地方において大正期に開催された自由画展に関する新聞報道を分析し,この地域における自由画教育の展開を明らかしたものである。本論文では,大正9(1920)年に開催された「世界児童自由画展覧会」を取り上げ,北陸地方を巡回した同展に関する報道から,自由画展の開催状況や自由画に対する有識者の見解,児童や一般参観者の感想,出品作品などの分析を行った。高岡市で開催された本展覧会については別に報告したが,本論文では福井,金沢,富山各市の開催状況や各地域の有識者の見解,作品評などを新たに加え分析を行った。調査の結果,この展覧会の新聞報道には,自由画教育運動として図画教育の転換が図られた当時の実情が克明に記録されており,新しい教育の波が北陸地方に伝播した状況を明らかにすることができた。
  • 視覚障害のある鑑賞者の発話プロトコルに基づく分析
    半田 こづえ, 宮本 温子
    2018 年 39 巻 p. 263-274
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,視覚障害者の「手でみる」鑑賞に焦点を当て,触覚による鑑賞の過程を明らかにすることであった。鑑賞経験を有する全盲の視覚障害者3名の協力を得て,彫刻作品を鑑賞しながら「発話思考法」を実施した。彼らの語りを分析した結果,触覚による鑑賞では,鑑賞者は観察した情報を頭の中で繋ぎ合わせて作品のイメージを構築すると同時に様々な触覚的な作品の質に注目し,繊細な特徴を捉えていた。  鑑賞の過程を時間的な側面から見ると,開始直後から集中して観察を行い,中盤には作品を確認・分析し,終盤にはそこからでてくる感情やメッセージの理解にもとづいて解釈や評価を行い,それぞれの鑑賞者が作品の意味を構成する過程が見られた。  以上より触覚による鑑賞は,「作品全体の把握」,「モチーフの分類」,「モチーフの特定」,「確認・分析」,「解釈・評価」の過程を経て行われるという結論に至った。
  • 美術検定データの定量的分析に基づく考察
    平野 智紀, 奥村 高明
    2018 年 39 巻 p. 275-287
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,美術鑑賞と知識の関係性について,「美術検定」問題解答データを基本的なテスト理論に基づいて定量的に分析することで明らかにすることを試みた。第一に,領域・問題パターンの相関関係から,従来の美術史の知識問題と,知識を用いた思考・判断を求める「知識・情報の活用問題」で問われる能力は質的に異なること,第二に,級による問題構成の設計と正答率から,一口に知識と言っても級ごとにその力点が異なること,第三に,知識情報の活用問題の正答率と問題パターンの相関関係から,知識を用いた思考・判断にあたっては級によって動員される知識レベルが異なることが示唆された。
  • 明治期における旧開智学校の掛図を対象として
    牧野 由理
    2018 年 39 巻 p. 289-300
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究は,明治期の旧開智学校において使用していた教育掛図や備品台帳を対象とし,視覚教材として掛図が与えた影響について検討したものである。明らかになったことは以下3点である。 (1)明治43(1910)年の備品台帳の分析によれば,1,244点の掛図を所蔵していた。10分類のうち最も多い掛図は「地理部」であり,次いで「修身部」,「歴史部」,「動物部」,「国語部」の順である。 (2)備品台帳の「著作者又ハ発売者」の集計によれば,「職員」が198点(16%)の掛図を作成していた。「職員」による掛図は信州地域の地図や歴史,産業など地域に密着していたことや,「松本教育品博覧会」の影響を受けていたことがわかった。 (3)「歴史部」の掛図の一部には,日本画家である岡倉秋水や女子高等師範学校図画講師の森川清が図を手掛けていたものが含まれていた。他教科の教育掛図を通して間接的ではあるが画家の絵に美的感受を受けていたことが示唆される。
  • パーソンズによる発達段階の鑑賞法の図画工作科への応用
    松井 素子
    2018 年 39 巻 p. 301-313
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
     美術科教育では子供たちの感性を豊かにするという目標で表現・鑑賞活動が実践される。中でも相互鑑賞活動には,表現活動の開始から作品の完成に至るまで,どのようなおもいが作品に込められ表現されているかが相互に共有,理解されやすい特徴がある。図画工作科の対話を重視した相互鑑賞活動において,発達段階に即した鑑賞法の段階分けを唱えたパーソンズ(1987)の理論で測定すると,子供たちの対話がその段階を超えているのではないかと感じられることが度々あった。  そこで,小学3年生における実践において,パーソンズの発達段階を踏まえた理論に則して分析し,新しい資質・能力を育む協同的な学びとしての相互鑑賞活動の可能性を考察した。  新しい鑑賞の視点とは,個々の多様な観点を用いて,対話と協働により,新しい自分たちの「価値」を生み出す力であるとの結論に至った。
  • モルディブの1984年ナショナルカリキュラムをめぐる教育現場の対応
    箕輪 佳奈恵
    2018 年 39 巻 p. 315-328
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
     本論文は,1984年のナショナルカリキュラムの導入とともに始まったモルディブにおける美術教育について,その当時の教育現場の実態という観点から明らかにしようとするものである。  論考においては,草創期の美術教育の実態を物語る3つの資料を検討している。すなわち,モルディブ人教師を対象としたインタビュー,学校教員が作成した参考作品集,そしてモルディブの子どもたちが描いた絵画作品の3つである。これらを検討した結果,同国においては新しい存在であった美術教育が全国規模で急速に浸透していったこと,それには教育省作成の教師用指導書が大きな役割を果たしていたこと,そして,近代的な美術教育の概念が当初から受け入れられ実践されていたことが明らかとなった。
  • 小学生を対象とした「造形遊び」の題材より
    村田 透
    2018 年 39 巻 p. 329-346
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
     本研究は,「造形遊び」の表現過程に連続性や発展性を生じさせる子どもの論理に基づく探究の仕方(理解の仕方)を明らかにすることを目的としている。そのため小学生を対象とした「造形遊び」を実践し,関与観察とエピソード記述をして,分析・考察をした。  明らかになったことの1つ目は,子どもは身の周りの環境と相互作用して,固有のものやことの意味や,自分のアイデンティティをつくり出すということである。2つ目は,子どもの「造形遊び」は,多様な特徴(「材料遊び」「操作遊び」「構成遊び」など)があり,それらが入れ替わり立ち代わり生じるということである。3つ目は,子どもは「わからない」状態から「わかる」状態にむけて絶えず活動し続ける課題探究をして,造形表現過程に連続性や発展性が生じる場合があるということである。4つ目は,子どもの課題探究における理解は,自他の相互関係における文化的価値の受容と創出とが表裏一体となっているということである。
  • 森長 俊六
    2018 年 39 巻 p. 347-359
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
     「錯視」や「だまし絵」を題材として扱ったり,学習の過程で取り上げるとき,現状では教科書や画集などの図版を用いて紹介している。図版のみによる紹介には限界があり,インタラクティブに図形を移動したり,視点を自由に動かすことによってこそ感動を持って実感することが可能となる。学校現場では,ICTの導入が加速し,パソコンや電子黒板の普及が進んでいる。タブレット端末を一斉導入する自治体も増えてきている。  本研究は,そのような背景を踏まえ,「錯視」や「だまし絵」に関して,インタラクティブな操作や視点の移動,動画などを用いてもっともわかりやすく実感できるデジタルコンテンツをデータベース化したソフトウェア,すなわちデジタル教材を開発することである。本稿は,具体的なソフトウェアの画面を示しながら,その設計思想を論じている。
  • 社会的関係性と美術制作の影響関係性から
    安里 知陽
    2018 年 39 巻 p. 361-372
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本論はサードエイジシニアが社会参加として行う,美術制作におけるグループ学習の効果 について検討する。グループで美術制作学習を行う65歳から76歳の男女11人を対象にしたイ ンタビューから,M-GTAによる分析を行った結果,学習者の「学習行動を支える要因」,1 「学習目的」,2「学びの価値」,3「学習の展望」の 3 つが確認された。「学習目的」は 学習スタート,「学びの価値」は学習活動全般,「学習の展望」は学習の継続に関する学習行 動を支える要因と捉えた。「学習の展望」による学習継続行動は,「理想の楽しみの探求」を 生み出し,「学習の楽しみの広がりと深まり」という効果を確認した。学習における社会的関 係は,「学びの価値」に影響し,作品制作の技能向上に効果的な要素であることが分かった。
  • 対中南米造形美術教育の技術移転に関する質的分析
    山田 猛
    2018 年 39 巻 p. 373-390
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    日本の国際協力における造形美術教育への取組は,半世紀に及ぶ実績にも関わらず,その事例研究は極めて少ない。現場で活動する国際ボランティアの報告書と聞き取り調査をもとに,技術移転達成の可否に分析視点を設定し,その可否を分ける要因や,造形美術教育の技術移転に繋がりにくい要因を量的・質的両面で分析することにより検証した。その結果,語学能力や扱う題材のシンプルさの欠如,現地の教員の多忙さへの配慮不足等,ボランティア自身の質の向上の課題や,国際協力・造形美術教育現場の実態や課題,また滞在任期の弾力化の必要性等が明らかになった。また,質的分析により,活動半ばにおけるボランティア自身の変化が,技術移転の可否を分ける重要な要因となる点が浮かび上がってきた。それが見られない場合に技術移転否に繋がりやすく,それらの事例から概念的カテゴリーを抽出・分析し,関係性を再構築することで,技術移転否を招きやすい構造的な典型モデルが提示された。
  • 吉川 久美子, 安斎 勇樹, 山内 祐平
    2018 年 39 巻 p. 391-407
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,中学生が自己開示を行い,自己への洞察を深めることができる造形ワーク ショップの提案である。そのために,みたて表現を用いて作品制作を行っている作家の創作 プロセスをモデルとすることで,中学生自身も自己の内面に触れる自己開示を伴った造形活 動を行うことができるという仮説を立てた。この仮説を作家のインタビュー映像を見るという かたちで活動内に実装した。効果を検証するために,主に公募で中学生の参加者を募集し,実 践を行った。そして仮説に基づく実践と作家のインタビュー映像を見せない仮説に基づかない 実践を行い,先行研究に基づいたオリジナルのコーディング表を作成し,分析を行った。その 結果,仮説に基づく実践では,情景描写より自己の内面に関わるポジティブな自己開示からネ ガティブな自己開示まで多様な表現が促されることが解った。一方で仮説に基づかない実践で は,情景描写が促されやすいことが明らかとなった。
  • 粘土を用いた授業に着目して
    吉田 奈穂子
    2018 年 39 巻 p. 409-421
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究は,シュタイナー学校の教育実践における粘土を用いた造形活動に着目し,その人間形成的意義を明らかにした。創始者R.シュタイナーの人間観や子供の発達観を基盤として,文献に紹介されている題材例と,筆者が授業観察と教育実習を行ったニュルンベルク・シュタイナー学校の造形教育の実際から考察を行った。その結果,この学校の粘土を用いた題材は,手で直接造形する粘土の特徴から主に「身体」に,1~8年生では学習内容と関連付けた想像的な活動によって「心性」に,9年生以上では目に見えない力や抽象的な題材を扱うことによって「精神」に働きかけ,12年間の一貫教育の中で人間全体が系統性をもって育成されていることが明らかになった。以上のことから,我が国の学校教育において,造形活動を利用した教科教育のあり方と調和的な人間形成を目指す教育の可能性が示唆された。
  • 先行研究における構造の特性について
    和田 学
    2018 年 39 巻 p. 423-434
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
    本研究の背景は,美術教育分野の価値領域において,学習者の問題解決の能力を育成するジレンマ学習にある。考察の対象は,社会的状況における芸術の価値を対象とした美的判断ジレンマ,作品体験の際の価値を扱った質的ジレンマの先行研究にある。本研究の目的は,美術教育における,ジレンマ学習の方法論と類似する他の研究とを比較し,特性を明らかにすることにある。研究の結果,ジレンマ学習の特性が,学習者が問題解決における失敗として選択肢の構造を捉えることが明らかとなった。
  • 2018 年 39 巻 p. 436-437
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. 438-440
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. 441-442
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. 443-445
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. 446-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. 447-448
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. 449-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. 450-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 39 巻 p. App2-
    発行日: 2018年
    公開日: 2020/04/02
    ジャーナル フリー
feedback
Top