美術教育学:美術科教育学会誌
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女子美術教育における「手芸」の位置 : ジェンダー理論による「手芸」概念の検討
山崎 明子
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2007 年 28 巻 p. 373-382

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抄録
近代日本における女子に対する美術教育は,男子の美術教育とは異なる枠組みを持ち,女子美術教育のあり方を特徴づけるのは,「手芸」という概念で表される女性の手仕事に関わる領域を包含する点にある。近代手芸論と美術家たちによるデイスクールから明らかになるように,「手芸」と「美術」は女子教育下において親和性を持ち,両者は「女子の美術」という特化した枠組みの中に位置づけられるものである。美術/工芸に対する女子の美術/手芸の関係は,美術領域からの「手芸」の除外だけではなく,女子の総合的な創造活動の育成システムそのものを美術教育の枠組みから除外した可能性を持つ。「手芸」概念を照射することにより,美術教育に内在するジェンダー・システムが明確になるとともに,本論は現代のファイバー・アートの受容に関する問題提起も行なっている。
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© 2007 美術科教育学会
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