美術教育学:美術科教育学会誌
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美術鑑賞文における熟達化の分析
石崎 和宏王 文純
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2008 年 29 巻 p. 49-60

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抄録

本研究の目的は,美術鑑賞文における熟達化を分析する指標を具体化し,鑑賞文の熟達化を促す要因を明らかにすることである。まず,鑑賞文における熟達化を(1)鑑賞行為のレベル,(2)鑑賞スキルの多様性,(3)文脈の深まりの3つの指標から規定した。それらを数量化し,鑑賞文支援ソフトの使用による効果をデータ分析した結果,3つの指標によって熟達化が示唆された。また,美術鑑賞文の作成過程を記録した履歴データから4つのタイプを規定したが,それらと熟達化の明確な関連は認められなかった。しかし,熟達化を促す要因の一つとして資質が事例分析から考察された。なお,鑑賞文の熟達化を促す要因の明確化については,知識探究の方策などの視点からの解明が今後の課題となった。

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© 2008 美術科教育学会
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