抄録
本論では幼児が形態概念を獲得する前図式期〜図式期の描画過程において,どのようにその形態を模索し,豊富にしているのかを探り,考察していくことが目的である。方法としては,イメージが自由に展開されるごっこ遊びの中の描画活動を観察し,形態を模索している瞬間に注目し,その時の環境や幼児のおかれている状況などを実証データを通して整理・分析した。その結果,遊びの中で湧きおこる「思い」が新たな形態を必然的に導き出す契機となるということと,友達との自由な雰囲気での相互交流が有効であるという二つの観点からの考察がなされた。