抄録
本研究では,対話型鑑賞活動において児童と美術作品との橋渡し役を務めるファシリテーターの役割に焦点を定め,児童に美術への知的関心を喚起させ,美術鑑賞の経験としての質を高める学習として活動を発展させていくためには,彼らの力量がより重視されるべきであることを提起した。更に鑑賞学習プログラムの実践事例をとりあげ,ファシリテーターが鑑賞者の発言を取捨選択し,示唆を提供しながら,鑑賞者を作品理解の深まりへと導く前提として,美術作品についての一定の理解や作品の見方についての知識が必要であることについて,美術史学的立場と教育実践学的な立場から論じた。