抄録
我々は先行研究において、日本短角種において稀少mtDNA ハプログループP を報告し、その起源は日本北部の在来牛に由来することを示唆した。本研究では、日本北部在来牛の影響を受けた可能性の高い品種について、ハプログループP の調査を目的とした。そこでmtDNA ハプログループP 個体検出を目的としたPCR-RFLP 法を開発し、日本北部のウシ品種388 個体(黒毛和種、日本ホルスタイン)に対して調査を行った。その結果、遺伝子頻度は低いものの、北海道のホルスタイン集団105 個体中2 個体(0.019)でハプログループP を検出した。この2 個体が有する2 つのハプロタイプは、日本短角種、韓牛、中国ホルスタインで報告されたハプログループP 個体と同一のものであり、共通の母系起源に由来することが示された。また、欧米の純粋品種ではハプログループP が報告されていないことや東北地方の歴史に関する記録を考慮すると、北海道のホルスタインで検出されたハプログループP が日本北部の在来牛に由来すること、また、これら日本北部在来牛と他の在来牛は異なる遺伝的背景を持つことが示唆された。