本報告の課題は,太陽光発電分野において,日本企業および日本の地位の低下が生じた理由を明らかにすることである.この課題に対して,本報告では,企業行動と競争構造,および政府の政策(制度)の相互作用関係という観点から考察を行う.企業の競争優位性と制度の関係に関する先行研究では,制度を外在的与件と見なす傾向が強いが,本報告では,各国政府の電力政策が企業活動に影響を与え,それが競争構造の変化をもたらすことで政府の政策変化へと結びついたこと,またそのプロセスにおける企業行動の差が,日本企業および日本の地位低下につながったことを明らかにしている.