經營學論集
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第84集 経営学の学問性を問う
選択された号の論文の90件中1~50を表示しています
統一論題〈経営学の学問性を問う〉
サブテーマ① 多様化する企業経営
  • 大月 博司
    p. 5-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    企業組織のあり方が多様化するなかで,組織において変化してはならないものがある一方,変化しなければならないものがあるのではないか、という問題意識から,組織の多様化現象に伴って組織の普遍性と特殊性の関係がどのようになるのか,どのように影響を受けるのかという点を解明することが意図された。その結果明らかになったのは,普遍性と特殊性の二元論的な見方の否定であり,企業組織の多様化現象における,普遍的な部分と特殊な部分の併存である。そして企業が存続するために,普遍性と特殊性のあり方についてまだ特定できる段階には至っていないが,両者の併存状況の確保が必要であることが確認された。仮説的にいえば,組織の多様性が増すにつれて特殊性が増し普遍性は減少するが,普遍性がなければ特殊性がなく,その逆に,特殊性がなければ普遍性につながらない。つまり両者は相対的に考えざるをえない関係性があるといえるのである。

  • ──コミュニケーション共同体としての組織観とディスコース分析の意義──
    梶脇 裕二
    p. 12-21
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    近年,企業経営におけるグローバル化がますます進行するなかで,普遍主義的価値観と文化主義的価値観の対立が大きな問題となっている。こうした対立を乗り越えるには,各地域に存在する多様な価値観に配慮した企業経営の「行動規準」を考える必要がある。本稿ではこうした「行動規準」を,多様な価値観に「共有された規範」と呼び,この形成と確立の可能性を認知主義アプローチと承認論の概念から考察する。それに基づき,企業経営における「共有された規範」が対話・会話や討議によるコミュニケーション活動を通じて形成されることを明らかにする。そして経営学・組織論における組織(企業経営)現象をコミュニケーション活動の反復的パターン(コミュニケーション共同体)と理解し,言説的実践を主とするコミュニケーション活動の分析(ディスコース分析)の重要性を強調する。

  • ──研究対象の多様化から考える──
    澤野 雅彦
    p. 22-29
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    かつて経営学は,メーカーを中心に研究を展開してきたが,近年,産業構造の転換に対応して研究対象を次々多様化し,さまざまな議論を行うようになってきている。もともと,経済学のようにディシプリンが明確な学問ではないだけに,その分,学問性が怪しくなってきているのも確かである。本研究では,経営学成立の経緯を考えることで,経営学の性質を検討して,「コンビナートモデル」と「自動車モデル」の2つの経営学を抽出したが,いずれも,直傭制が成立する20世紀型システムに適合的であることが明らかである。ところが,21世紀に入る頃から,産業構造の転換により,派遣・請負つまり,間接雇用が増えはじめ,経営学が成立する基盤そのものが揺らいでいる。そのため,脱構築なくしては経営学の学問性は疑わしいものとなるであろう。

  • 高橋 正泰
    p. D1-1-D1-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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  • 大平 義隆
    p. C1-1-C1-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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  • 重本 直利
    p. C2-1-C2-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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サブテーマ② 危機の時代の企業経営
サブテーマ③ 経営学の可能性と存在意義
自由論題
  • 青木 崇
    p. F1-1-F1-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    今日の企業の社会的責任はCSR(Corporate Social Responsibility)として、企業と社会の持続可能な発展を鍵概念とした企業活動を行っていくことが求められている。持続可能な発展が求められる背景には経済・市場・経営のグローバル化による貧富の格差拡大、環境破壊、人権・労働問題などが顕在化してきたことに関係している。企業の社会的責任に関する国際的な定義はいまだ一致した見解はみられていないが、国際機関やNGOなどが企業の社会的責任に関する行動指針や規格を公表している。企業の社会的責任は営利組織体のみならず、非営利組織体にもかかわる問題になってきている。企業は自社の経営にかかわる社会的課題に対して自主的に取り組んでいることが多い。そのため、企業は経済的・社会的役割の中でいかにして社会的問題の解決に寄与していくかが問われてきている。本稿では新たな企業の社会的責任と企業の中核に位置する経営者の課題を念頭に置きながら考えてみることにしたい。

  • ──組織コミットメントの媒介効果と個人-職務適合の調整効果──
    福間 隆康
    p. F2-1-F2-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本研究は,人的資源管理施策が職務パフォーマンスに与える影響における組織コミットメントの媒介効果と,個人-職務適合の調整効果を明らかにすることを目的とした。人的資源管理施策,組織コミットメント,対人的援助行動,個人―職務適合測定尺度を用いて,介護サービス組織の正規介護職員318名を対象に,インターネット調査を行った。分析の結果,HRMは,組織コミットメントを通じて対人的援助行動を促進すること,HRMが組織コミットメントに与える影響と,組織コミットメントが対人的援助行動に与える影響は,P-Jfitが高いときに顕著となることが明らかになった。これらの結果から,HRM,組織コミットメント,対人的援助行動を取りまく因果関係のメカニズムは,従業員が与えられた職務と適合していると感じる度合いによって条件づけられることが示唆された。

  • 岩田 一哲
    p. F4-1-F4-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    ストレス研究と過労自殺研究を相互援用して、属性別の過労自殺の先行要因を探索するために、アンケート調査を行った。結果として、第1に、メランコリック親和型性格は、ストレス反応に対して弱い正の影響があり、仮説1は弱いものの支持された。ただし、影響力は属性によって異なる。第2に、協力の必要性は、ストレス反応に対して全体、属性別ともに影響がなく、仮説2は支持されなかった。第3に、仕事の量的負荷、役割曖昧性、役割葛藤はストレス反応に影響があったが、仕事の質的負荷の影響はなかった。このため、仮説3は一部支持された。第4に、週平均労働時間は、ストレス反応に対して影響力はなかった。したがって、仮説4は支持されなかった。

  • ──中国民族自動車吉利のケース──
    李 東浩
    p. F5-1-F5-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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  • ──浙江省温州市自動車部品産業集積の事例──
    林 松国
    p. F6-1-F6-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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  • ──現地でのアンケート調査をもとにして──
    安 兌爀
    p. F8-1-F8-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    CSR経営に関する国際的な潮流の中、近年韓国においてもCSRへの関心が高まっている。そこで本稿では、韓国企業のCSRの実態を確認するための実証研究として、現地で実施したアンケート調査に基づき、韓国企業の社会業績(SP)と経済業績(EP)の関係性を定量分析し、検討する。SPとEPの関係性に関する研究は、1970年代から特にアメリカを中心に多くの研究が行われ、2000年代からは日本と韓国でも行われている。本稿の調査分析の結果から得られた貴重な知見として、①CSR社内体制に対して大きな影響を及ぼすのは外部ステイクホルダーであること、②CSRの社内体制と取組分野への対応が経営戦略としての性向が強いこと、③経営理念として「社会性」を重視する企業がCSRに積極的であること、などが挙げられる。本稿では、大企業だけではなく多数の中小企業も調査対象に含まれているという点で、韓国における企業像の概況をある程度反映したものと見ることができるであろう。

  • 加藤 和彦
    p. F9-1-F9-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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  • ──問題移動による理論進化に着目して──
    永野 寛子
    p. F10-1-F10-5
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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  • ──ボトムアップ型戦略を通じた競争優位──
    玉井 健一
    p. F11-1-F11-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本研究は、もの造り競争力を支える中小製造業の戦略を特徴づけることを目的としている。上記の目的に照らし、ここでは競争戦略論の中で提示されている集中戦略の概念に依拠しながら、中小製造業の競争優位の戦略としてボトムアップ型の戦略の存在を理論的かつ実証的に把握した。また、アーキテクチャの位置取り戦略の観点からボトムアップ型戦略を検討し、そのメカニズムを支える開発と生産に関わる活動について、単一ケーススタディを通じて検証した。分析結果として、顧客との擦り合わせとコンポーネントの組み合わせの両面を併存させた開発プロセスとコンポーネントの組み合わせによる注文生産のプロセスが、ボトムアップ型戦略の競争優位を支える重要な活動となっていることが明らかになった。また、これらの活動は、製品別工程とコンポーネントの標準化に基づいていることも確認され、同戦略を支える競争基盤が明確になった。

  • ──競争戦略論と取引コスト理論──
    橋本 倫明
    p. F12-1-F12-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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  • ──総合電機メーカーの事例分析──
    宮本 琢也, 安田 昌司, 前川 佳一
    p. F13-1-F13-8
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本研究は、総合電機メーカーの中央研究所を中心とした研究開発の実態について歴史的な分析を行った。中央研究所の役割が、リニアモデルを中心に進んでいた時期から、事業部との連携しながら研究開発が進められる時期へという大きな流れが確認されるとともに、中央研究所が安易に事業部に歩み寄ることによるシーズ不足といった現象が確認された。つまり、中央研究所が事業本部の研究所と役割が重複してしまうことの危険性が示されている。このような点について、本研究では、試論的展望として、技術分野・技術課題によって、研究所の役割を柔軟に使い分ける方法や、蓄積志向と即応志向を時期によって振り子のようにシフトする意図的変遷の可能性について検討している。

  • ──日本の地域発イノベーションの方向性──
    田中 史人
    p. F14-1-F14-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    日本の地域社会は,少子高齢化,人口減少による高度な成熟社会を迎え,躍進するアジア諸国などとのグローバルな地域間競争の激化により,地域間,企業間,個人間の格差が拡大している。この地域経済を取り巻く厳しい状況の中,本稿では,地域における経済成長のけん引役と,その育成による地域経済の活性化の手法を中心に考察を加えている。まず,今までの地域産業に関する主な政策を振り返り,その政策効果の限界について言及する。そして,①成長企業の成功要因の分析,②地域における企業活動の実態把握という2つの分析枠組みを提示し,地域社会には,地域発元気企業(破壊的イノベーションの遂行)と,地場長寿企業(事業の存続・発展)という2つのタイプの中核企業が存在することを指摘する。その上で,両者の横断的連携による事業創造ネットワークの創出とイノベーションの実現という,日本的地域イノベーションシステムの方向性を導出している。

  • ──内部統制報告書・東証コーポレート・ガバナンス白書を基にして──
    市古 勲
    p. F15-1-F15-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    内部統制報告制度が施行されて,2013年時点で5回の結果が報告されている。また,東証コーポレート・ガバナンス白書も4回目の発行に至っている。本稿では,これらデータを基に,本稿に先行して行った市古・津田(2010)(2012)の日本の上場会社を対象にしたインタビュー調査結果を検証した。先行研究では,日本の上場会社は,(1)当該制度に対して積極的な対応をとっていない,(2)コーポレート・ガバナンスと内部統制を連動したものと捉えており,むしろマネジメントに近いものと捉えている,という結果が出ているが,本稿におけるサーベイにおいても,この結果は概ねサポートされた。

  • 青木 英孝
    p. F16-1-F16-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本研究では、東証一部上場非金融事業法人の1990年から2005年までのパネルデータを用いて、所有構造や取締役会特性といった企業のガバナンス構造が、経営者の戦略的意思決定、具体的には多角化戦略の変更に与える影響を実証的に検証した。主な結論は次の通り。第一に、企業パフォーマンスの低下に応じて戦略変更が行われるというメカニズムが明らかにされた。そして、このメカニズムは1997年の銀行危機後の「選択と集中」が活発化する局面の方が、あるいは企業パフォーマンスが一定の水準に満たない場合の方がより明確であった。第二に、伝統的な日本型ガバナンスの逆機能を発見した。大規模な取締役会や株式の相互持ち合いはパフォーマンス低下時の戦略変更を阻害し、既存戦略を温存させる作用をもったのである。第三に、パフォーマンス水準が低い場合は、資本市場の圧力が事業再編を促す規律づけメカニズムとして重要な役割を果たしていることを発見した。

  • 中道 眞
    p. F17-1-F17-7
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本稿では、国際経営論におけるグローバリズムの議論の中で、グローバル・ガバナンス論に注目する。それは、世界の諸国家や非国家組織が世界政府をもつことなしに、地球上の諸問題を解決していくためには、いかなるグローバルな秩序を形成していくことが必要であるかをめぐる議論のことである。この議論はグローカリズムが中心となる概念であり、グローバル・ガバナンスからローカル・ガバナンスまでの重層的ガバナンスにおいて、各ガバナンスが強く結びつくことによって機能すると捉える。この結びつきは、当事者間の相互調整による国際ルールの形成とローカルな実施にならざるをえない。

     グローバリズムの重要なプレーヤーの一つは、国際経営を展開する企業である。したがって国際経営論においても、グローバルな視点とローカルな実施が結びついた地球中心的な「規範的コントロール」に移行せざるを得ないことを考察する。

  • ──シャープと東芝の事例分析から──
    森永 泰史
    p. F18-1-F18-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    通常、技術移転は研究所と事業部との間で行われるが、研究所で開発された技術の使い道が不明確な場合は、事業部に受け取りを拒まれたり、死蔵されたりすることも多い。デザイナーはこれまで、そのような場面において、技術の新しい使い道を独自に模索し、それを研究所や事業部に提案することで技術移転を促進してきた。しかし、そのような取り組みは、デザイナーの自主的な取り組みである場合が多く、明確に制度化されてきたわけではない。また、そのようなデザイナーの働きは、イノベーションの実現において重要な役割を果たしてきたにも拘わらず、目立ちにくいため、見過ごされてきた。本稿では、その目立ちにくい活動の実態を明らかにするともに、そのようなデザイナーの働きを制度化する際に考慮すべき4つの条件を明らかにした。

  • 李 在鎬
    p. F19-1-F19-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本研究は、アーキテクチャの動態的市場適合の観点から、日本の純正カーナビゲーションデバイス(以下、カーナビと略称する)における市場調達の浸透について明らかにするものである。日本のカーナビ市場においては、欧米市場と異なり、純正カーナビが依然として支配的であることから、その特異性が強調される傾向がある。しかし、純正カーナビの市場の中で、メーカーオプションからディーラーオプションへ、取引の主流がシフトしてきている。本研究では、アーキテクチャの動態的市場適合論という普遍的な枠組みに依拠して、純正カーナビのディーラーオプション化を分析し、日本特異論を再検討する。

  • ──長寿企業を対象に──
    小野瀬 拡
    p. F20-1-F20-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本稿の目的は事業承継後にイノベーション活動が活性化する要因を明らかにすることである。そのことを前経営者の欠点の把握、前経営者の影響力、および存続への関心の観点から質問紙法によって明らかにしようとする。この目的の達成のため、文献調査をおこない、仮説を提示し、質問紙法によってこの仮説を検証した。本調査では、第一に前経営者の欠点を理解するとイノベーションの可能性が高まること、第二に存続を重視するとイノベーションの可能性が高まることが示された。

  • 小室 達章
    p. F21-1-F21-2
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本稿の目的は,リスクマネジメント研究において,リスクマネジメントに関連する特定の事象を記述可能な3つの視点が存在することを明らかにすることである。具体的には,①リスクマネジメント研究には,経済性,信頼性,正当性という3つの視点が存在すること,②リスクマネジメントに関連する事象は,経済性,信頼性,正当性という3つの視点から三者三様に記述可能であることを明らかにする。

  • ──東日本大震災被害東北5信用組合の事例より──
    渡部 順一
    p. F22-1-F22-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波、及びその後の余震により引き起こされた福島第一原子力発電所事故を含む大規模地震災害である。

     東日本大震災等でとりわけ被害の大きかった宮城県、並びに、福島県においては、いちはやく撤退した金融機関も目についた。ところが、これらの地域に立地する東北5信用組合では、自ら被災しつつ、外部との連絡もままならない状況において、いち早く業務を再開するとともに、被災者支援を行うという「情報なき意思決定」がなされた。ここで、情報なき意思決定とは、外部環境からの情報がなく、内部環境(当該組織内)における情報も不十分なまま行われる経営者、あるいは、組織構成者の意思決定としている。

     本論文では、当該信用組合がどのように情報なき意思決定を行ったかについて、その基本理念や地域に密着した活動を踏まえて事例報告を行う。

  • ──類型化モデルの構築を通じて──
    日高 靖和
    p. F24-1-F24-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    これまで日本の雇用システムは長期安定雇用主義が特徴とされ,技術系人材についても,企業の内部労働市場の中で活用されることが多かった。しかし,グローバルなメガコンペティションと呼ぶべき厳しい状況下,旧来型のHRM施策を技術系人材に適用することが困難になりつつあり,グローバルに適用可能な理論枠組に基づき,HRMを構築していかなければならない。本稿では,実務レベルで利用可能な新たな技術系人材マネジメントのスキーム作りを目指したものであり,主な成果は以下のとおりである。

    (1) 「人材アーキテクチャー」(Lepak and Snell,1999)を技術系人材のマネジメントへ適用する際の問題点を考察した。

    (2) 「知識」視点を導入し,その流出リスクを考慮した技術系人材マネジメントモデルを構築した。

    実務家へのインタビュー調査により,構築したモデルの有用性を検討した。

  • 宮下 清
    p. F25-1-F25-9
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    日本のホワイトカラーは、どのようにしてその職務能力を修得しているのだろうか。大卒ホワイトカラーを対象に調査結果に基づく分析・考察、インプリケーションについて報告する。人事、経理、営業、情報の4部門各100名、計400名の日本のホワイトカラーについての調査結果を基礎情報とし、調査対象者と同様なホワイトカラーのヒアリング調査による質的情報を加えた分析考察を行う。さらに非正規雇用の大卒ホワイトカラー300名に対しての調査結果も比較考察する。これにより職務能力の形成においてOJTや教育研修などの企業内教育、または外部での教育機会がどれほど有効であるかを明確にできる。結論の一つには職業能力の修得には実務経験がきわめて有効であることが再確認される。またOJTの有効性は高く、実務経験に代わるものとなりうる一方、研修の効果は限定的であり、一定の条件や配慮がその有効性を高めるために必要とされる。

  • ──人事部、部門トップ、従業員の視点から──
    西岡 由美, 西村 孝史
    p. F28-1-F28-8
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本研究では、従業員像のフィットに注目し、人事部、部門トップ、従業員の3者の自社人材(正社員)に対する認知ギャップが人事施策の運用に及ぼす影響を検討した。同一企業内の人事部、部門トップ、従業員を対象に実施された質問票調査のマッチングデータを用いた結果、第1に、人事部と従業員の認知ギャップは組織パフォーマンスに有意な負の影響を与える(小さいほどよい)こと、第2に、人事部と従業員の認知ギャップと異動施策の運用との交互作用項は有意な負の影響を、能力開発との交互作用項は正の影響を示すことが判明した。人事機能によって認知ギャップの影響が異なることから、全ての人事施策が一様に認知ギャップからの影響を受けるわけでなく、自社人材に対する「異見の一致」により人事施策の運用の反応度が異なることを主張する。合わせてSHRM研究におけるフィットの1つとして自社の人材ギャップが変数となりうることを指摘する。

  • ──自己犠牲的行動の知覚とその影響──
    日野 健太
    p. F29-1-F29-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本研究は,リーダーが自己犠牲的であることが,フォロワーのリーダーシップの知覚にどのような影響を与えるのかについて,自己犠牲的行動とビジョン・能力の2次元で2×2の実験条件を設定し,仮説のテストを行った。結果,自己犠牲的なリーダーは実際はそうでなくても,ビジョンと能力を持っているように見え,フォロワーの集団アイデンティティの知覚に正の影響を与えていることが明らかになった。リーダーの立場にたてば,自己犠牲的であることはリーダーシップをとる上で必要だと言えるが,フォロワーの立場に立てば,能力やビジョンを欠いても,それがあるかのように見えてしまうということになる。組織の将来を誤らせかねない危険性にも留意すべきである。

  • ──TOTO株式会社小倉第二工場の事例を中心に──
    松尾 知也
    p. F30-1-F30-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本稿の目的は,一人方式が労働生産性を高めるのに必要な条件についての知見を事例から得ることである。先行研究や詳細な事例が少ないため探索的な研究という位置づけである。事例の対象は2003年から一人方式を導入しているTOTO株式会社小倉第二工場の水栓金具の組立工程である。この生産現場は一人方式を全面展開して大きな効果を上げている。考察の結果,一人方式によって労働生産性を高めるのに必要な条件として,①一人方式の導入によって大幅に短縮できる作業時間が存在すること,②習熟する作業が高度なスキルを必要としないこと,5分以内のタクトタイムを対象にしたものであること,③作業者に進捗状況を確認させることで作業速度を管理する仕組みが存在すること,④継続的かつ定期的に毎週行う改善活動,管理職が全員参加する改善活動が存在すること,⑤業績やスキルと連動させた賃金および雇用制度が存在することの5点の知見が得られた。

  • ──太陽光発電の事例から──
    岡村 龍輝
    p. F31-1-F31-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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    本報告の課題は,太陽光発電分野において,日本企業および日本の地位の低下が生じた理由を明らかにすることである.この課題に対して,本報告では,企業行動と競争構造,および政府の政策(制度)の相互作用関係という観点から考察を行う.企業の競争優位性と制度の関係に関する先行研究では,制度を外在的与件と見なす傾向が強いが,本報告では,各国政府の電力政策が企業活動に影響を与え,それが競争構造の変化をもたらすことで政府の政策変化へと結びついたこと,またそのプロセスにおける企業行動の差が,日本企業および日本の地位低下につながったことを明らかにしている.

  • 堀口 朋亨, 吉村 典久
    p. F33-1-F33-3
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/09/27
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