抄録
株式会社形態の根底には,資本集中を発揮するために株主有限責任制というシステムが設けられ,増大する投資資金を賄う体制が整えられてきた。これをうまく機能させる必須の条件として,資本の制度,企業情報の開示,会社機関の整備が行われてきている。こうした仕組みは,資本主義の発展と軌を一にし,歴史的所産として今に至っている。
この株式会社制度の発展の契機は,希少な出資に基づいた資本の拡大と支配権の取り扱いの過程にある。それがグローバリゼーションによる金融環境の変化のなかで,資本の相対的希少性の後退という事態に遭遇している。こうした情況において,これまでの株式会社制度を維持することは企業社会を歪めることにはならないか。株主寄りに政策決定されることが多くなっているが,グローバリゼーションとの関わりのなかで株式会社制度と企業社会を改めて考え直してみたい。