本稿では,日本企業が直面する課題について,事業組織の状況を中心に考察を進める。ここでの主たる論点は,日本企業では,より多くの付加価値を生み出す方策を講じる必要があり,その実現には,単に新たな技術の創出に向けた活動の強化だけではなく,個別事業における基本的な戦略や組織のあり方に関する変革が求められることにある。以下では,まず日本企業の収益性と付加価値の状況を概観した上で,付加価値率が低迷している点を確認する。その上で,大手企業を対象とした調査データに関する分析の概略を示し,日本企業の事業組織において解決すべき問題について,事業戦略と組織特性の側面から,具体的に検討していく。