經營學論集
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第87集 日本の経営学90年の内省と構想【日本経営学会90周年記念特集】
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(31)ディーセント・ワークとコーポレート・ガバナンス
──非正規雇用労働者という存在を通して──
*黒川 秀子
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p. F31-1-F31-7

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抄録

企業ガバナンス,すなわちコーポレート・ガバナンスの問題は,日本で 1990年代以降,諸社会科学分野で議論され,法学・経済学の立場からは株主主権型(ストックホルダー型),経営学では主として利害関係者型(ステークホルダー型)が主張されてきた。しかし,現在のコーポレート・ガバナンス関連の制度は株主主権型の主張に依拠して構築されている。

 一方,この間,コーポレート・ガバナンスの動向と直接はあまり関係ないように見える社会的問題―全世界の人々の働き方の問題―が浮上している。これに対し,ILOは「ディーセント・ワーク(Decent Work)」(働きがいのある人間らしい仕事)を掲げている。

 日本政府は「ディーセント・ワーク」と「「攻めの」コーポレート・ガバナンス」を掲げているが,そもそもこれは矛盾した概念ではないか。このことを全労働者の37.5%(2015年)を占める非正規雇用労働者の存在を通して考察すると,コーポレート・ガバナンスの問題と労働の問題の,新自由主義的思考という根本における大きな関連性が理解できる。

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