經營學論集
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第87集 日本の経営学90年の内省と構想【日本経営学会90周年記念特集】
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自由論題
(39)組織再編のエスノグラフィー
──ハイブリッドネットワークの持続性に注目して──
*伊藤 精男
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p. F39-1-F39-9

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抄録

本稿では,アクターネットワーク論(ANT)を援用して解釈された組織再編事例において,なぜ再編された組織構造を継続できなかったのかに注視し,そのハイブリッドネットワークの持続性に注目して分析を行った。当該事例において,組織構造(ハイブリッドネットワーク)には再編の初期段階と最終段階で変化が見られなかったにもかかわらず,その状態には変化が見られたが,それは人的アクターの状態変化によるものと捉えられた。すなわち,そのハイブリッドネットワークには,結節点としての人に時間経過とともに疲弊を招く可能性が埋め込まれていたものと考えられた。ANTでは,どのようなハイブリッドネットワークを画定するかが問われるが,それは「観察者の視点」からの事後的検討で成り立つものであり,そこに一定の限界を有することが指摘された。本稿の議論から,ハイブリッドネットワークの持続性に注視して,事象が生起している途中でも分析しうる手掛かりとして,ネットワークを構成する結節点としての人における「違和感」への着目の重要性が指摘された。

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