日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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起伏測定装置を用いた飼料高測定と給与飼料の形状変化
森田 茂島田 泰平松岡 洋平干場 信司
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2008 年 44 巻 3 号 p. 220-227

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抄録

本研究では、フリーストール牛舎における乳牛採食に伴う給与飼料の形状変化を、飼料高から経時的に調査し、飼料移動の特徴を検討した。調査は、酪農学園大学附属農場にて実施した。調査開始時(13:00)に餌寄せ作業を行い、飼料形状を整えた。飼料高の測定は、2m間隔で6ヵ所(測定位置)行い、各測定位置における飼料高を飼槽壁から10cm間隔で150cmの位置まで計測した(15ヵ所)。飼料高の計測は30分間隔とし、17:00まで実施した。非接触により飼料高を測定するために起伏測定装置(JTF-FS12、ジャコム株式会社製)を用いた。飼料高測定にあわせ、5分ごとに乳牛の採食行動を観察した。調査終了時の最遠飼料端距離および最大飼料高距離は有意(P<0.05)に増加した。これに対し、最大飼料高は調査開始時とほぼ等しかった。飼槽壁から10〜50cm位置における調査終了時の飼料高は調査開始時に比べ有意(P<0.05)に減少した。70cm位置における調査開始時および終了時の飼料高に差は認められなかった。飼槽壁からの距離が90〜140cmの位置では、試験終了時の飼料高は有意(P<0.05)に増加した。飼槽壁から10cm位置における飼料高は、13:00での20cmから16:00での5cmへと直線的に減少し、16:00以降はほぼ一定であった。この傾向は、飼槽壁から20〜40cmの位置でも同様であった。調査開始時の飼槽壁から90cm位置の飼料高は約4cmであり、調査終了時の16cmへと直線的に増加した。飼槽壁から100〜120cm位置では、90cm位置と同様に飼料高は直線的に増加した。本試験のような条件下において、給与飼料の飼料高は飼槽壁からの位置が70cmを境に減少および増加といった様相の異なる変化を示し、飼料高より推定した残存飼料は、4時間経過後で極めて低い比率となることが示された。

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© 2008 日本家畜管理学会・応用動物行動学会
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