日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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群馬県沼田市におけるニホンツキノワグマ(Ursus thibetanus japonicus)の出没と里地里山環境との関係
梅田 健太郎羽山 伸一山本 俊昭梶ヶ谷 博
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2011 年 47 巻 1 号 p. 1-11

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抄録
ニホンツキノワグマUrsus thibetanus japonicus(以下,クマ)の人の生活圏への出没には、いくつかの要因が考えられているが、その一つに里地里山(以下,里地)環境の荒廃が挙げられている。本研究は、クマの出没と里地環境との関係を解析し、クマの出没要因の解明を目的とした。本研究は、群馬県沼田市にて、2008年10月から12月の期間に行った。クマの出没に関連すると考えられる里地環境を畑地、水田、果樹園、不作付け地、荒地、林縁と定義し、これらの位置、作付け状況、管理状況を調査した。解析には、地理情報システムによって定量化した里地環境のデータと調査地におけるクマの出没地点データを用いた。解析は、巨視的解析と微視的解析に分け、それぞれ、作成した区画、クマの出没地点を基にして行った。巨視的な解析では、クマの出没と地形の複雑性(P<0.01)および土地利用における果樹園の割合(P<0.01)との間に正の相関が確認された。微視的な解析では、クマの出没が、果樹園(P<0.01)および藪化レベルが高い林縁周辺(P<0.05)に偏っていることが確認された。解析の結果、クマの出没には、地形の複雑な場所であることと、果樹園と藪の存在が影響していると考えられた。
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© 2011 日本家畜管理学会・応用動物行動学会
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