日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
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内蒙古典型草原における土壌中窒素およびリン濃度の地上部生産量への影響について
興野 若菜高 娃鳥 恩鳥蘭 吐雅後藤 正和田島 淳史石川 尚人
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キーワード: 内蒙古, 土壌成分, 典型草原
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2013 年 49 巻 2 号 p. 91-95

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抄録
中国内蒙古草原では、同じタイプの草原であっても地域によって生産量が異なることが過去の研究によって示されているが、その原因については明らかにされてない。そこで本研究では、内蒙古における典型草原の生産量の地域差と土壌中の窒素およびリン濃度との関係を評価することを目的として研究を行った。地理的に異なる地域から、地上部生産量が異なる典型草原3ヶ所をサンプリング地点として選んだ。これらのサンプリング地点は、普段は放牧地として利用されているが、研究年度のみ地上部生産量を正しく評価するために禁牧を行った。各地点に1×1mのコドラートをランダムに4つ設置し、8月1日から4日にかけて植生調査および土壌と植物のサンプリングを行った。サンプルの前処理を行った後、土壌と植物の総窒素、総リンおよび硝酸態窒素濃度を測定した。その結果、地上部生産量と土壌中総窒素の間に有意に近い正の相関傾向が認められた(r=0.5721, P=0.0659)。一方、地上部生産量と土壌中の総リンとの間に有意な相関は認められなかった。また、地上部生産量と土壌および植物中硝酸態窒素の間には有意な負の相関が認められた。以上の結果より、内蒙古典型草原における地上部生産量の地域差に対し、降水量などの他の要因と同様に、土壌中の総窒素レベルの地域差が影響している可能性が示唆された。
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© 2013 日本家畜管理学会・応用動物行動学会
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