日本ダニ学会誌
Online ISSN : 1880-2273
Print ISSN : 0918-1067
ISSN-L : 0918-1067
原著
オキイレコダニEuphthiracarus foveolatus Aoki, 1980 は,E. cribrarius(Berlase, 1904)のシノニムに該当するのか?(英文)
島野 智之Roy A. NORTON
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 12 巻 2 号 p. 115-126

詳細
抄録
2 種の近似種オキイレコダニEuphthiracarus foveolatus とE. cribrarius は現在のところ分布域は重なっていない.前者は,日本のみに生息し,後者は,アジアからヨーロッパにかけて広く分布しているが日本からの報告はない.近年,原記載の誤りが指摘され,これらの種の区別が疑問視されるようになった.また,新たに採集されたオキイレコダニE. foveolatus のいくつかの標本には変異が大きく,ヨーロッパから報告されているE. cribrarius と体長などの点で,重複が認められた.
この報告では我々はE. foveolatus の変異を明確にすると共に,近似種E. cribrarius との比較を相対的に行った.E. cribrarius は原産国(the type country)であるノルウエー産のものを用いた.いくつかの重複した形質があるにもかかわらず,日本産の標本とノルウエー産の標本は,2 つの特徴から明確に区別できた.ひとつは生殖側毛の長さの比(ag1/ag2)である.E. foveolatus の値はE. cribrarius のものよりも5 倍以上大きかった.もう一方は,E. cribrarius にある3 つの脚の毛がE. foveolatus で欠失していることである.1)第II 脚の付節の名前の付けられなかった1 本の歩脚毛,2)第III 脚の膝節の歩脚毛v',3)第IV 脚の膝節の歩脚毛v' である.以上のことから,われわれはこれらの2 種は区別でき,シノニムではないと考えている.
著者関連情報
© 2003 日本ダニ学会
前の記事
feedback
Top