2 種の近似種オキイレコダニ
Euphthiracarus foveolatus とE. cribrarius は現在のところ分布域は重なっていない.前者は,日本のみに生息し,後者は,アジアからヨーロッパにかけて広く分布しているが日本からの報告はない.近年,原記載の誤りが指摘され,これらの種の区別が疑問視されるようになった.また,新たに採集されたオキイレコダニ
E. foveolatus のいくつかの標本には変異が大きく,ヨーロッパから報告されてい
るE. cribrarius と体長などの点で,重複が認められた.
この報告では我々は
E. foveolatus の変異を明確にすると共に,近似
種E. cribrarius との比較を相対的に行った.
E. cribrarius は原産国(the type country)であるノルウエー産のものを用いた.いくつかの重複した形質があるにもかかわらず,日本産の標本とノルウエー産の標本は,2 つの特徴から明確に区別できた.ひとつは生殖側毛の長さの比(ag
1/ag
2)である.
E. foveolatus の値は
E. cribrarius のものよりも5 倍以上大きかった.もう一方は,
E. cribrarius にある3 つの脚の毛が
E. foveolatus で欠失していることである.1)第II 脚の付節の名前の付けられなかった1 本の歩脚毛,2)第III 脚の膝節の歩脚毛v',3)第IV 脚の膝節の歩脚毛v' である.以上のことから,われわれはこれらの2 種は区別でき,シノニムではないと考えている.
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