日本ダニ学会誌
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原著
トンネル栽培ニンジンに発生したホモノハダニの薬剤感受性
兼田 武典亀代 美香中野 昭雄米本 謙悟南 利夫青木 一彦後藤 哲雄
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2012 年 21 巻 1 号 p. 21-29

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抄録

2011年早春に徳島県板野郡のトンネル栽培ニンジンにホモノハダニが大発生し,収穫量が減少した.しかし,本種に有効な薬剤に関する情報がなかったため,2011年には本種への十分な防除を実施することができなかった.そこで本研究では,即効的に害虫密度を抑制できる殺虫剤,殺菌剤,気門封鎖系薬剤,粒剤(合計22剤)について,実用濃度に対する本種の感受性を検討した.その結果,供試した殺虫剤と殺菌剤17剤のうち,処理96時間後の雌成虫の死亡率が95~100%であった7剤(bifenazate,DBEDC,emamectin benzoate,lepimectin,methomyl,milbemectin,pyridaben)では殺ダニ効果が高かった.気門封鎖系の3剤は,雌成虫に対する殺ダニ効果が低かった.休眠卵に対する殺ダニ効果を検討した粒剤2剤のうち,diazinon粒剤は,対照区に較べて,生存率が約45%低下したため,ある程度の効果が認められた一方,tefluthrin粒剤処理における死亡率は対照区と変わらなかったので,効果が認められなかった.これらの結果から, 供試した22剤のうち7剤についてホモノハダニに対する殺ダニ効果が認められた.さらに7剤のうち2剤(emamectin benzoate, methomyl)は既にニンジンに登録があるので,本種が多発した場合には登録のある2剤を密度抑制のために使用できることが分かった.

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© 2012 日本ダニ学会
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