本研究は,Ⅰ型コラーゲンであるウシアキレス腱由来のコラーゲンに対するタンニン酸の影響について調べること を目的とした. 蒸留水に溶解し,0.1,1,10,20% に調整したタンニン酸溶液中に,ウシアキレス腱由来のコラーゲンを一定時間 浸漬したのち,洗浄および乾燥し,示差走査熱量測定装置を用いてコラーゲンの熱変性温度を測定した.また,40% リン酸または10%クエン酸を作用させた場合の変化の様子について肉眼で確認するとともに,熱変性温度を測定し た. タンニン酸溶液の濃度と浸漬時間によって異なるが,タンニン酸溶液に浸漬したウシアキレス腱由来のコラーゲン は熱変性温度が高くなり,酸処理によってゼラチンに変化しなかった.ゼラチンに変化しなかったウシアキレス腱由 来のコラーゲンを示差走査熱量分析したところ,変性していないことがわかった.以上の結果から,タンニン酸は, Ⅰ型コラーゲンであるウシアキレス腱由来のコラーゲンを強化することが分かった. キーワード:タンニン酸,Ⅰ型コラーゲン,示差走査熱量測定,酸処理,接着耐久性