接着歯学
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象牙質接着に関する研究
象牙質表面処理が接着性レジンの接着性に与える影響について
小玉 尚伸
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1997 年 15 巻 1 号 p. 1-20

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抄録
この研究の目的は、リン酸と次亜塩素酸ナトリウムによる象牙質表面処理法 (H3PO4-NaOCl処理) のレジンと象牙質との接着に対する効果を検討し、その接着機構を解明することである。未処理研削面あるいはリン酸だけの処理では熱サイクルを負荷することにより接着強さが低下したが、H3PO4-NaOCl処理では熱サイクル5万回負荷後でも接着強さは低下しなかった。ESCA、SEM、TEMにより観察したところ、H3PO4-NaOCl処理を行った象牙質表面はリン酸処理によって生じる変性コラーゲンを含む脱灰象牙質層が除去され、健全象牙質が露出していた。そして、象牙細管および細管側枝が開口し、管間象牙質表面は粗造となり、微細な凹凸構造が認められた。また、接着界面は、微細な凹凸にレジンが入り込み、さらに健全象牙質に連続するハイドロキシアパタイトを取り囲む移行的樹脂含浸層が形成されているのが認められた。
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© 日本接着歯学会
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