レジン前装冠の前装材-金属境界部におけるプライマーの接着効果を判定することを目的として, 前装部を有する補綴装置の経過観察を行った.調査した103歯のうち, 51歯には境界部の接着にプライマー (V-プライマー) が使用され, 残りの52歯は未使用であった.装置装着より5年および10年後に境界部の微小破折を観察した.その結果, プライマー使用群は5年後 (p=0.0019), 10年後 (p=0.0260) とも, 未使用群に比して破折が有意に少なかった.一方, 同一群の5年後と10年後の比較ではプライマー使用 (P=0.1418), 未使用 (p=0.6206) を問わず経時的相関は認められなかった.以上の結果から, V-プライマーの使用はマイクロフィルド型コンポジット (デンタカラー) と金銀パラジウム合金 (キャストウエルM.C.12) で製作された補綴装置の前装材-金属境界部の破折防止に有効であると考えられる.
