抄録
本研究の目的は, 7種のボンディング材硬化物を用いて表面がアルゴンイオンエッチングによりどのような形態変化を起こすかについて観察し, ボンディング材表面の硬さとの関連性を調べることにある.各種ボンディング材を付属の採取皿内で十分光硬化し, エポキシ樹脂に包埋, 樹脂硬化後鏡面研磨を行い, まず各ボンディング材表面の超微小硬さを測定した.その後研磨面とアルゴンイオンエッチングを施した面についてFE-SEMを用いて観察し, これを比較・検討した.フィラーを含むボンディング材5種の超微小硬さはフィラーを含まない2種に比べ高い値を示し, またフィラーを含むものの中では2ステップタイプのものの方が, 1ステップタイプのものより高い値を示す傾向がみられた.アルゴンイオンエッチングを施すことによって各ボンディング材表面は特徴的な形態変化を認め, このことは各ボンディング材のフィラー含有量や構成するモノマーの組成によるものと考えられるが, 表面の硬さとの関連性は認められなかった.