接着歯学
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マグネットアタッチメントにおけるキーパーを支台歯へ直接固定する方法の研究
第1報ポストキーパーと築造用コンポジットレジンの接着強さ
大橋 博文河野 博史吉岡 崇迫口 賢二嶺崎 良人鬼塚 雅田中 卓男
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2004 年 22 巻 3 号 p. 237-244

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抄録

キーパーをレジン製ルートコーピングに直接固定する新しい磁性アタッチメントシステムを考案した.本研究では, キーパーとコーピングに用いる築造用コンポジットとの接着性を評価した.試作したポストキーパーは, Fe-Cr磁性合金で作製され, 円盤状のキーパー部 (高さ: 0.8mm, 直径: 3.0, 3.5, 4.0, 4.5mm) とテーパーポスト部 (長さ: 1.5mm, 直径: 1.5mm) から構成されている.ポストのないキーパーを対照群として用いた.キーパーの接着面は, 50μmアルミナサンドブラスト処理 (S), S処理+メタルプライマー処理 (S+P), あるいは無処理のいずれかの方法で前処理した.処理したキーパーをアクリルチューブ内に充填された築造用コンポジット (クリアフィル®フォトコア) の上面に固定した後, コンポジットを光重合させて試験片とした.さらに, 重合後のコンポジット内に, キーパーを接着性レジン (パナビア®フルオロセメントあるいはスーパーボンドC & B) を用いて接着固定した試験片も作製した.試験片は試験条件につき5個ずつ作製し, 完成した試験片は最大20,000回までの水中熱サイクル試験を負荷してから, 引張り接着強さを測定した.得られた測定結果は, ANOVAとFisher's testを用いて危険率5%で統計処理した.その結果, キーパーの接着耐久性を向上させるためには, S+Pで接着前処理された直径3.5mm以上のポストキーパーをスーパーボンドC & Bで固定する方法が最も有効であることが判明した.

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© 日本接着歯学会
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