日本接着学会誌
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研究論文
ベンゾオキサジン環の開環反応を利用した新しいタイプのフェノール樹脂に関する研究(X)一ガラス繊維強化複合材料の物,性に及ぼすマトリックスの分子量の影響
木村 肇田代 和久松本 明博
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2000 年 36 巻 11 号 p. 442-448

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抄録
分子量の異なる2種類のフェノールノボラック型ベンゾオキサジン化合物とビスオキサゾリンとの溶融混合樹脂をマトリックスとしたガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を作製し、ベンゾオキサジン化合物の分子量がGFRPの諸物性に与える影響について検討した。その結果、分子量の大きなベンゾオキサジン化合物を用いたGFRPの方が耐熱性に優れていた。また、分子量の小さなベンゾオキサジン化合物を用いたGFRPの方が、引張強度、曲げ強度および特に衝撃強度に優れていた。この理由としては、分子量の小さなベンゾオキサジン化合物を用いたGFRPの方が架橋密度が低いため可撲性があり、かつ繊維と樹脂との界面接着強度が若干低いため樹脂のき裂中に生じた応力集中が界面はく離することにより緩和されやすいことが考えられる。
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© 2000 一般社団法人 日本接着学会
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