抄録
ポリシロキサン鎖にアルコキシシリル基を含有するポリシロキサン-block-ポリイミドを合成し,その熱機械的特性および密着性について検討を行った。 このポリマーは,塗膜形成過程において,アルコキシシリル基の加水分解重縮合反応が進行し,極性有機溶剤に対して不溶であった。 この架橋反応は,ポリシロキサン鎖で進行するため,ポリシロキサン含有率が多いほど架橋密度が高くなり,また,ポリシロキサン含有率で架橋密度は,大きく異なると考えられる。 ポリシロキサン含有率50wt% のポリマーでは,架橋反応していないポリマーと比較して,引張弾性率が大きくなり,ガラス転移温度以下の熱膨張係数,ガラス転移以上での熱膨張率ともに低下した。 また,ポリシロキサン鎖のアルコキシシリル基の架橋により熱分解温度は,大幅に向上することが明らかになった。 さらにこの樹脂をガラス基板上に塗布した後,その塗膜の密着性について評価を行ったところ,耐熱密着性,耐湿密着性ともに優れていた。