抄録
ゴムとシリカとの接着におけるシランカップリング剤の機能について検討するために,結合硫黄量の異なるトリエトキシシリルプロピルポリスルフィド(TESPPS)をシリカ配合SBRに添加し,カップリング剤の結合硫黄量とシリカ配合SBRのバウンドラバー量および網目鎖濃度との関係を調べた。バウンドラバー量はTESPPSの結合硫黄量の増加にともなってほぼ直線的に増大した。ゴムの網目鎖濃度は,硫黄配合量を増やすことで直線的に増加するが,その直線の勾配はTESPPS中の結合硫黄量を増加させた時の方が,後から添加する硫黄配合量を増加させた時に比べてかなり大きかった。この結果から,TESPPSをSBRに添加した時の機能は,シリカとゴムを結合させるほかに,硫黄を供与し網目鎖濃度を上げる働きがあると考えられる。