2001 年 37 巻 6 号 p. 224-230
粘着テープの保持力特性を解析するため,ずれ量の時間変化が極端に異なる試料の同時測定を可能にした保持力測定システムを開発した。予備荷重機構やダイナミックレンジに優れたパルス計数式センサ(1μmの分解能と30mmの測定範囲)を採用し,高精度かつ広範囲の測定を可能にした。マルチプレクス機能のデータ処理手法により,多本数の測定データの取り込み(等対数時間間隔)・処理・蓄積を可能にした。このシステムを用いて粘着テープの保持力測定を行い,種々の試験条件の保持力特性に及ぼす影響を検討した。ずれ量曲線の形状や傾きから破壊の形態や破壊の進行速度の違いが評価できた。保持力特性を詳細に評価するにはダイナミックレンジに優れたセンサによる広範囲の測定が不可欠であることが明らかになり,粘着テープの落下過程の要因解析において本測定システムの有効性が確認できた。