抄録
種々の化学構造を有するイオン含有ポリマーを新規に合成し,それを硬化触媒として用いたエポキシ樹脂硬化物の動的粘弾性測定におけるTgレス化挙動を観察することにより,Tgレス化を引き起こすための化学構造上の必要条件に関し,検討を行なった。その結果,Tgレス化させるイオン含有ポリマーとしては,エポキシ基をアニオン重合させることのできる求核性を有するアルカリ金属のカチオンと共役塩基とのイオン対,及びイオン含有ポリマーの凝集を抑える脂溶性連鎖を備える必要があるが,主鎖骨格の化学構造及び酸基の種類には依存しないことが分った。また,エポキシ樹脂を効果的にTgレス化させるためのイオン含有ポリマーの添加量には最適値が存在し,K+を含有するポリマーの場合,その添加量は概ねエポキシ基1モルに対しK+0.02~0.03モルであった。