抄録
パルス法NMRの測定で得られる FID signal は高分子物性に関する情報が非常に多いデータである。この FID signal を直接数値微分することにより緩和スペクトルを求めるプログラムの作成を行ってきた。今回,我々はスチレン系ブロックポリマーについてパルス法 NMR と動的粘弾性 (DMA) の測定を行い,緩和スペクトルと DMA の温度分散との関係を解析した。その結果,次のことが明らかとなった。 (1) -50℃から0℃の低温域では緩和スペクトルのピーク時間が大きくシフトする温度領域と,損失弾性率E''が変化する温度域が同じである。これらはともに高分子の流動性の変化を測定していることになる。 (2) 100℃付近の40µs以下の緩和スペクトルは,PSブロックがハード相として存在していることを示している。同温度域の DMA と比較すると,SI ジブロック含量の多いポリマーは PS ドメインを形成したまま流動していると考えられる。