2015 年 51 巻 4 号 p. 116-122
ポリビニルアルコール(PVA)水溶液と硝酸銀(AgNO3)水溶液を混合し,キャスト,乾燥して作製してたフィルムに紫外線を照射する光還元法でAg/PVAナノコンポジットを作製した。超薄切片の透過型電子顕微鏡観察の結果,Ag含有量20wt%程度までは,5~10nmサイズのAg微粒子がPVA中に分散し,Ag含有量が増加しても粒子の数が増えるのみで,サイズの変化はなかった。Ag含有量33.3wt%では,Ag微粒子の連続化,凝集が見られ,20~40nmのより大きな粒子が生成していた。動的粘弾性測定から,Ag/PVAナノコンポジット化によるPVAのガラス転移温度の変化は見られなかったが,一般に80℃付近に観察されるPVAのガラス転移温度が約20℃に低下していた。熱重量分析の結果から,Ag/PVAナノコンポジット化によってPVAの熱分解開始温度がより高温にシフトすることが分った。ただし,この現象は硝酸を添加したPVAでも見られた。パルス核磁気共鳴測定から,Ag微粒子によるPVA分子鎖の分子運動の拘束は観察されなかった。つまり,成分間の相互作用発現は確認できなかった。