2018 年 54 巻 10 号 p. 358-366
接着剤の塑性や損傷を含む材料変形を有限要素解析するために必要とされるパラメータ値を円筒突合せ複合負荷試験より同定する手法を検討した。有限要素解析で接着剤の変形を表現する材料モデルとして,弾塑性変形と損傷過程を組み込んだ材料モデルであるToughened Adhesive Polymer Model( TAPOモデル)[ MAT_252]を用いた。接着接合部の応力状態を仮定することで複合負荷試験の結果より応力の第一不変量,偏差応力の第二不変量およびplastic arc length が算出され,弾塑性変形の構成式,降伏関数,非関連流れ則にフィッティングすることでパラメータの値が求められた。また,円筒突合せ複合負荷試験およびDouble Cantilever Beam(DCB) 試験の解析を実施し実験結果と比較することで,接着接合部の有限要素解析へ提案手法によるパラメータ同定が応用可能であることが示された。