日本接着学会誌
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研究論文
シランカップリング剤の分子量が 表面処理層の化学吸着率におよぼす影響
中村 充橋口 千聖寺尾 俊輝真鍋 圭小池 一歩矢野 満明平井 智康藤井 秀司中村 𠮷伸
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2020 年 56 巻 12 号 p. 472-479

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抄録

無機粒子をシランカップリング剤で表面処理すると,表面と化学結合した化学吸着分子とファンデルワールス力で吸着した物理吸着分子が存在する。シランカップリング剤の高分子量化による化学吸着率の改良について検討した。アミノ基含有シランカップリング剤では,3-アミノプロピルトリエトキシシランに対して高分子量のアミノエチルアミノオクチルトリメトキシシランは,化学吸着率が向上した。ハイドロカーボン型では,低分子量体も高分子量のデシルトリメトキシシラン( DTMS) も化学吸着率が低かった。フルオロカーボン型も低分子量体の化学吸着率は低かったが,高分子量の1H, 1H, 2H, 2H-パーフルオロデシルトリエトキシシラン( F17DTES) は,加熱による化学吸着促進効果が著しかった。表面処理粒子の広角X 線回折から,F17DTES のフルオロカーボン鎖がラメラ構造を形成している可能性が示唆されたが,DTMS 処理系は規則構造を示さなかった。このフルオロカーボン鎖の規則化が加熱による化学吸着率向上に寄与したと推定した。

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© 2020 一般社団法人 日本接着学会
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