日本接着学会誌
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研究論文
粘着剤組成物の力学的性質の研究第4 報アクリル系粘着剤架橋度による ゾル成分分子量分布変化の解析
浦濱 圭彬村田 順平岸 肇
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2020 年 56 巻 2 号 p. 48-56

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抄録

BA/AA=95/5( 重量比) のアクリル系ポリマーの力学的性質の解明を行っている。リビングラジカル重合ポリマーのゾル成分の分子量分布の架橋剤量依存性の解析を試みた。低架橋剤当量組成( すなわち,0.001 当量および0.002 当量) のゾル中に分子量100 万以上の分布の増加が認められ,同時に低分子量域の分布が減少した。 さらにゾル成分の分子量分布のデータを3 個の正規分布( ガウス曲線) からなると仮定し,マルチカーブフィッティングを行うことにより3 個のピークに分離し定量的に解析した。 その結果以下の事項が明らかとなった。 ① 架橋剤当量が0.001eq と0.002eq ではゲル化せず,まず2 量体化が起こる。その結果,分子量が100 万を超える新たな分布が生成する。 ② 架橋剤量が多くなるとこの分布がゲル化に寄与して消費され,その割合はゲル化と共に急激に減少する。

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© 2020 一般社団法人 日本接着学会
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