日本接着学会誌
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総合論文
生体組織に接着する材料の設計と医学応用
田口 哲志
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2023 年 59 巻 4 号 p. 97-103

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抄録

外科手術や内科的処置後の生体組織の閉鎖は,縫合糸,ステープラーおよびクリップによる閉鎖・接着が 主流となっているが,縫合・閉鎖部からの出血や空気漏れ等を防止するために生体接着材料が用いられている。 しかしながら,既存の生体接着材料は強度と生体親和性の両立に課題があり,両者を併せ持つものが望まれ ている。そこで,低温流動性を示すスケソウダラ由来ゼラチンに種々の疎水基を導入した疎水化タラゼラチ ンを用いて,湿潤環境にある生体組織に接着すると同時に組織治癒に伴って分解吸収され,高い生体親和性 を示す接着材料を設計した。疎水化タラゼラチンを用いて得られる生体組織接着性ゲルは,血管および肺組 織に対して優れた耐圧強度を示した。また,硬化後の生体組織接着性ゲルは癒着防止効果を示すことが明ら かとなった。早期消化管がん除去部への適用を目的に設計した組織接着性粒子は,十二指腸組織に対して優 れた被覆・穿孔閉鎖効果を示した。また,エレクトロスピニング法により調製した組織接着シートは貼付の みで効果的に肺組織を閉鎖できることが明らかとなった。これらの生体接着材料は,強い炎症反応を引き起 こすことなく体内で酵素的に分解されることから,外科手術,内科的処置後の生体組織接着・閉鎖のための 医療材料として有用であると期待される。

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© 2023 一般社団法人 日本接着学会
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