2023 年 59 巻 7 号 p. 229-235
低エネルギー電子線を用いたポリアミド6(PA6)の表面改質による接着強度とその機構に関して検討を行った。本研究では,PA6に対する電子線処理により剥離強度は約8 倍に増加した。電子線処理後のPA6の表面物性,構造評価から,酸素含有極性官能基の導入だけでなく,ラジカル種が発生し,比較的長い寿命で存在していることが明らかとなった。このことから,電子線処理が静電的相互作用だけでなく,接着剤との化学結合の形成により接着強度が増大したものと考えられた。さらに長寿命ラジカルが存在し,処理効果の維持が数日間に亘り,可能であることが明らかになった。これらのことから,近年の装置技術の発展により,低電圧での電子線発生が可能となり,表面処理法の一つとして電子線照射処理を接着へ利用することの有用性を示すことができた。