2025 年 61 巻 11 号 p. 287-292
本総合論文では,筆者らが近年報告を行ったトリチオカルバマート構造を利用したゲルの接着システムについて報告する。過去様々なトリチオカルバマートを用いた興味深い反応が報告されてきた。本論文で紹介するように,筆者らはリビングラジカル重合の一種である可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT重合)などのトリチオカルバマートを中心とする化学反応を利用して,接着した後に様々な機能を付与することのできる,生物のように成長可能な接着手法を報告した。例えば,N-isopropylacrylamide を接着部に存在するトリチオカルバマートと反応させることで接着部にpoly(N-isopropylacrylamide) を挿入した構造を形成することに成功し,接着部を機能化することができた。今後,本論文で報告するゲル接着手法を利用して,置かれた環境に自動的に適合することのできる接着剤の開発が期待される。