不安障害研究
Online ISSN : 2187-9583
Print ISSN : 1883-5619
ISSN-L : 1883-5619
総説
パニック障害における脳構造の変化
浅見 剛小西 潤平安 良雄
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 4 巻 1 号 p. 37-43

詳細
抄録
パニック障害の病態には,扁桃体を中心に,そのほかの辺縁系領域(帯状回・島回など)や前頭葉領域(内側領域,眼窩皮質など),視床,脳幹などさまざまな脳領域の機能や構造の異常が関与していると考えられている。報告数は少ないが,MRIを用いた脳構造画像研究では,パニック障害における扁桃体や前部帯状回,島回,眼窩皮質を含む前頭葉などの灰白質容積の減少,脳幹領域の容積増加が報告されている。また,それらの容積変化と臨床評価尺度や不安評価尺度との関連も報告されている。さらに,上側頭回や小脳など,病態モデルには含まれない脳領域にも,その容積減少が認められたことが報告されてきている。パニック障害には疫学,臨床症状などに性差が認められているが,構造画像研究においても,それら男女差の基盤となりうる脳構造上の性差が報告されている。本稿では,パニック障害の病態モデルを参照しながら,これまでの脳構造画像研究の成果について概説する。
著者関連情報
© 2013, Japanese Society of Anxiety Disorder
前の記事 次の記事
feedback
Top