デザイン学研究作品集
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人々の活動に焦点を当てた環境計画基本構想 : ランブリングマーケットサンストリート亀戸
柘植 喜治
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1998 年 4 巻 1 号 p. 32-35

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抄録

サンストリートは、従来の画一的な店舗構成により計画されたハコ型商業施設とは一線を画す商業施設である。買い物に来る人だけでなく、あらゆる世代の人々が集い、くつろぎ、日常生活を楽しめるよう人々の活動に焦点を当てた次世代の商店街づくりを目指した。敷地は、セイコー電子工業(株)(現セイコーインスツルメンツ)の発祥の地である亀戸本社工場跡地で、JR総武線亀戸駅前、国道14号線(京葉道路)に立地する。こうした好立地に駅ビルでもロードサイドショップでもないこれまでの再開発とは異なる時間消費型の集客施設を計画した。錦糸町とともに東京都の副都心として位置づけられる亀戸地区では、これまで超高層ビルによる複合都市開発などさまざまな構想が検討されてきたが、経済状況の急激な変化の中で具体化が見合わされていた。このような状況下で再開発事業を推進するにあたり、15年の暫定利用と低密度利用という事業計画が検討された。こうした経緯を踏まえ新たな集客施設として企画構想に当たり、かつて街の人々の活動の中心であった商店街の価値を問い直した。その活動を支える様々な要因が複雑に絡みあう状態の総体を環境として捉え、プロジェクトの初期の段階で施設開発における環境とその構成要素を様々な角度から検討した。その成果を環境計画基本構想として策定し、プロデューサーやデザイナー、事業主に提言した。(図1)その後の施設計画においてこの基本構想は北山創造研究所のプロデュースのもと、建築をK計画事務所、テナントリーシングをストリーム、運営管理のCDI他多くのチームにより実施計画に移された。建築計画やサイン計画、ショップデザインなどのデザイン業務だけでなく、業態開発、運用計画にもこの提言は反映され多くの成果が得られた。(図2)

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© 1998 著作者
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