デザイン学研究作品集
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EVムーバ「ペルメ」 : 茨城県地域産学官共同研究事業の運営と成果
蓮見 孝藤沼 良夫
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1998 年 4 巻 1 号 p. 62-67

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抄録

ペルメは、ムーバー(超小型のパーソナル移動機器)の一種であり、一般的には電動三輪車と呼ばれるものである。急速に高齢社会に向かう今、各地で取り組まれているバリアフリーの町づくりや、今後普及が予想されるタウンモビリティー(後述)などに適応できるように屋外・屋内兼用を意識してデザインした。(図1)ペルメ(PerMe=イタリア語で「私のための」の意)は1995〜1997年の3年間にわたり実施された茨城県地域産学官共同研究事業から生み出された高齢者支援機器の一つである。このプロジェクトは、自社製品の開発経験に乏しい地域中小企業に対し、実際のプロジェクトを通して企画・開発の経験・技術を付与することにより、自立への足がかりを与えることを主眼とするもので、茨城県工業技術センター(「工技センター」と略す)を中心に、茨城県内の大学や研究所、医師やユーザーが参加し、コラボレートを行いながら実用化をめざして研究・開発を進めた。ペルメは1999年初旬の販売に向けて生産準備が進められており、自立化支援プロジェクトとしては稀な、市販の製品を生み出した事例になる可能性が高い。筑波大学・蓮見研究室は工技センターとともに、本プロジェクトの計画時点から具体的製品デザイン、さらに普及活動にいたるまでプロセス全般にわたって参画した。本論文では、プロジェクトの経過とそのアウトプットである製品の両面から解説し、大学が果たした役割と成果について述べる。

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© 1998 著作者
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