2003 年 8 巻 1 号 p. 34-39
ハワイ島マウナケア山頂(4200m)は年間300日を超える高晴天率や空気が乾燥していることなどから宇宙観測に適した立地条件を備えており、既に海外主要国の天文台が数多く設置された宇宙観測の国際基地となっている。文部科学省国立天文台が2000年に観測運用を開始した大型赤外線望遠鏡「SUBARU」は、世界のどの望遠鏡にも負けない観測性能を備えた新世代望遠鏡として、また日本がはじめて海外に建設した科学施設として話題を集め、既に数多くの報告がなされている。この「SUBARU」のデザインには企業内デザイン組織において、8年間に延べ14人のデザイナーが関わってきた。施設のビジュアルな提案資料を作成した前期と、建物(ドーム)や望遠鏡本体のデザインから運搬のためのパッケージデザインに至るまでの様々なデザイン活動の後期の過程がある。本稿では本プロジェクトにデザイナーがどのように関わり成果を生み出したかを後期を中心に報告する。