抄録
超臨界二酸化炭素(SF-CO2)を用いて金属の抽出を行った場合,金属を回収するためにSF-CO2相から水相へと逆抽出する必要がある.本研究ではSF-CO2に溶解させたTBP硝酸ウラニル錯体と純水を向流接触させることで逆抽出を行い,このときの物質移動係数を算出した.水相基準の境膜物質移動係数はSF-CO2系,30%TBP系ともに4~5×10-5 m/sであった.しかし有機相基準SF-CO2系の値 4.8×10-3 m/sは30%TBP系に比べて二桁程度大きい.総括物質移動係数は30%TBP相またはSF-CO2相側の物質移動によって決まる.SF-CO2系の方が30%TBP系よりもウランの物質移動が速いと考えられる.このことから,SF-CO2を用いることで,有機相から水相へのウランが効率的に抽出可能であることが明らかとなった.