日本原子力学会 年会・大会予稿集
2004年秋の大会
選択された号の論文の669件中1~50を表示しています
第I区分 総論
リスクコミュニケーション
  • シビアアクシデント時の放射線健康影響評価
    八田 昌久, 西川 雅史, 松本 史朗, 岡本 浩一, 加藤 尊秋, 甲斐 倫明, 渡邊 正巳, 佐藤 正知, 松川 勇
    セッションID: J01
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    シビアアクシデント時の放射線健康影響を現時点での科学的な知見により評価し、正しく理解する。それを、リスクコミュニケーションの情報として、わかりやすく提示する。シリーズ発表4報中の1番です。
  • シビアアクシデント時の放射線被ばくおよび健康影響解析
    関田 俊哉, 八田 昌久, 松本 史朗
    セッションID: J02
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    シビアアクシデント時の放射線健康影響を現時点での科学的知見により評価し、正しく理解するために、日本海に面したモデルサイトでシビアアクシデントが起こった場合の影響評価解析を行なった。リスクコミュニケーションの情報としてわかりやすく提示する。
  • シビアアクシデント時の放射線健康影響キャラクタライゼーション
    井上 隆介, 甲斐 倫明, 渡邊 正巳, 八田 昌久, 松本 史朗
    セッションID: J03
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    リスクコミュニケーションのための情報として、シビアアクシデント時の放射線健康影響を、リスクマネジメントのための評価基準ではなく現時点での科学的な知見により評価し、わかりやすく提示する。
  • 原子力発電に関する社会調査の動向と展望
    加藤 尊秋, 岡本 浩一, 松本 史朗
    セッションID: J04
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    原子力発電所の立地点では、これまで、多数の社会調査が行われてきた。本研究では、これらの調査の質問項目を網羅的に整理した上で、今後実施すべき調査の方向性を探る。今後の社会調査では、第一に、発電事業者と周辺住民の共存のための合意の内容を明確化することが望まれる。既存の調査、特に国が行う調査は、原子力発電に対する賛意、また、安心感の程度をもって、原子力発電受け入れの指標とみなす傾向がある。しかし、実際の共存状態には、情緒的にも安心できる状態からチェック・アンド・バランス的な緊張感を伴う共存状態まで様々な形がある。現実的な制約下で、どのような共存形態が望ましいか、地域住民の考え方を探る必要がある。第二に、立地恩恵の効果について、今後の地方財政の厳しさなど現実的な制約を考慮した上で、考察を行う必要がある。
  • 小川 順子, 森 伸介, 鈴木 正昭
    セッションID: J05
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    一般人に原子力発電の理解を求めるために、しばしば原子力発電のリスクが様々な「生活行為のリスク」と比較される。「生活行為のリスク」は、1979年米国ピッツバーグ大学Cohenによって計算された「様々なリスクの比較表」に載っている値が一般によく使われており、原子力の広報にも役立ってきた。しかしながら、これらは25年前のしかも米国のデータで計算されたリスクである。そこで我々は、現代日本の状況に合った日本におけるリスク表に改訂することを目的に、「ガン」、「心臓病」、「自動車事故」、「火事」、「脳卒中」、「肺炎/インフルエンザ」、「エイズ」、「独身(男性)」、「独身(女性)」「喫煙」、「肥満」、「飲酒」、「自殺」、「殺人」、「航空機墜落事故」、「原子力産業」、「自然放射線」、「地層処分」、「大気汚染」、「屋内煙検知器」、「エアバッグ」の21項目のリスクについて損失寿命を算出した。
  • 福井大学「原子力危機管理工学」の実施例
    飯井 俊行, 福井 卓雄, 西川 嗣雄, 小高 知宏, 仁木 秀明, 福元 謙一, 浅井 竜哉, 玉川 洋一, 川本 義海, 金邉 忠
    セッションID: J06
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    今春スタートした福井大学大学院原子力・エネルギー安全専攻では安全の専門家にはある特定分野についての深い知識を有することによりなれるわけではなく,少し浅くとも広範囲の技術情報を取捨選択し,統合できるような訓練を受けて初めてなれると考えられることを背景に「原子力危機管理工学」を必修講義として設定した.本講義では各研究分野から5つのテーマを提供し,これについてディベート形式で議論を行うことによりまずは安全に関する広範囲の知識と考え方(立場)を身につけさせている.今回の講演ではその概要を紹介する.
  • 反復的「対話フォーラム」の効用
    八木 絵香, 高橋 信, 北村 正晴
    セッションID: J07
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    本研究においては、原子力技術が抱える社会的問題解決の第一歩として、複数の原子力立地地域において「対話フォーラム」を継続実施している。その結果、専門家参加者・住民参加者の両者に意見・態度変容が認められたことは既報の通りである。本報告では、得られた知見の中でも特に、参加者による評価をふまえた上で、原子力専門家と一般市民の継続的コミュニケーションがもたらす効用に焦点をあてた報告を行う。
  • リスクベース意思決定モデルの提案
    義澤 宣明, 寺邊 正大, 野口 和彦, 滝沢 真之, 北村 正晴, 高橋 信, 八木 絵香
    セッションID: J08
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    本研究では科学技術にかかわるリスクベース意思決定の社会的受容を検討するために、リスクベース意思決定モデルを構築・提案した。既存研究等との比較分析の結果、リスクベース意思決定モデルは、過去の関連研究の知見を総合的に反映する形で、具体的な解決策を提案していることが確認できた。
  • ORCATに関する有効性評価
    木村 浩, 田中 博, 古田 一雄
    セッションID: J09
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    多くの社会調査や全戸訪問、情報公開サイトの構築など、現在、原子力の社会的受容を達成するためにさまざまな手段が講じられている。しかし、これらの手段の効果が如何なるものなのか、また、実際どのくらいの効果があるのかを評価する手法はほとんど提案されておらず、そのため、その有効性評価は実施されていないのが現状である。そこで本研究では、著者らが開発しているオンラインリスクコミュニケーション支援システムORCATを例題として、その有効性評価手法の提案とその実施を試みる。
  • 原災法下における危機対応行動シミュレーション
    菅野 太郎, 古田 一雄
    セッションID: J10
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    本研究では災害対応における危機管理システムの評価手法と支援技術の開発を見据え、災害環境下において緊急対応を行う多種多様な組織行動、住民の振舞いなどを解析、評価する緊急時行動シミュレーションシステムの開発を行っている。本稿ではシミュレーションシステムを用いた原災法下における危機対応シミュレーションについて紹介する。
  • 久郷 明秀, 吉川 榮和, 下田 宏, 若林 靖永
    セッションID: J11
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分が検討され、可能性調査地点の公募が始まっている。処分施設が設置されるためには受入れ地域住民の前向きな姿勢と社会全体の理解が必要である。この社会全体の認知と合意形成のために内的支援ツールの開発に取組み、Web上にHLW地層処分に関する自由なコミュニケーションの場を構築してその効果を確認する実験が行われている。本研究は、このモデルシステムのコンテンツ構築のために必要な情報を、パブリックコメントを基に心理分析して得ようとする試みで、テキストマイニングによる多変量解析手法を用いている。分析の結果、科学技術への期待と不安、社会規範との整合性、意思決定プロセスへの不満などの社会心理が明らかとなり、これらに対応した技術説明、環境倫理問題をコンテンツに盛り込むことで、Web上の自由な議論が活性化され、効果的なコミュニケーションが行われることが期待される。
安心・防災
  • 稲村 智昌, 中込 良廣
    セッションID: J12
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    原子力関係者は、原子力施設に何らかのトラブルが発生した場合の情報提供には積極的である一方で、何のトラブルも発生しなかった場合には特に積極的な情報提供を行わないのが現状である。地震等の外的要因の発生に対して、原子力施設に何もトラブルが発生しなかった場合に、その情報を適時かつ積極的に提供することによって、周辺住民の不安感の解消を図ることが可能であろう。本研究では、地震、台風、落雷等の外的要因の発生に対して、原子力施設に影響を与えるような事態が発生しなかったという事実に関する情報をゼロ情報と定義し、原子力への安心を確保するための方策として、ゼロ情報を適時に提供するシステムの構築に関する提案を行う。
  • 松井 裕子
    セッションID: J13
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    京阪神都市部270名を対象に、原子力発電所で起こる事故のイメージについて調査を実施した。その結果、イメージされる事故の規模は大きく分類された。また、より大きい事故をイメージした人の方が、自分自身が事故の影響を受けると考える人の比率が高かった。
  • 坂井 秀夫, 吉岡 理穂, 尾関 弘子, 小林 明子
    セッションID: J14
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    一般に原子力発電所見学会は、原子力の社会受容性向上に効果があると言われている。原子力発電所100万人見学キャンペーン時(H13.10_から_H14.9)の見学者アンケートによりそれを検証するとともに、意見・要望を分析し、原子力の社会受容性向上につながる見学会について考察した。その結果、発電所見学会は原子力に対してプラスの効果に貢献していること、また原子力の社会受容性向上に向けて今後の発電所見学会に求められる主な要素は、参加者個々人の目的、体力、要望などに応じたきめ細やかな運用方法、及び見学者の意見を的確にフィードバックするためのアンケート設計であることがわかった。
  • 首都圏電力不足問題の影響
    北田 淳子
    セッションID: J15
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    東電問題を受けて多数の原子力発電所が運転を停止したことにより、東京電力供給地域では2003年夏、電力供給力不足から停電が起こる可能性が高まり、企業への対策依頼や家庭での節電を呼びかける広報が積極的に展開された。原子力発電に対する世論を測定するために、1993年以来継続的意識調査を実施してきたが、その一環として、2003年9月26日から10月14日に、関西電力供給地域と東京電力供給地域において、18歳以上79歳以下男女から層別2段無作為抽出による各地域1500サンプルに対して、留め置き法により調査を実施した。関西の時系列比較および関西と関東の地域比較により首都圏電力不足問題の影響を検討した。その結果、首都圏の電力不足やそれが原子力発電所の運転停止に起因していることはかなり認知されていたが、エネルギーや原子力発電に対する意識にはほとんど影響がなかった。関東では節電広報はかなり浸透していたが、積極的に節電行動をとるには至っていなかったことが示唆された。
  • 富岡 立行, 橋場 隆, 岡本 正志, 木船 久雄
    セッションID: J16
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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     エネルギー教育のアプローチには大きく、エネルギー概念の理解を中心した理科的な方法と、資源・エネルギー・環境の関わりの理解を中心とした社会科的方法の二つがある。学校教育において、前者はその名のとおり理科教育で、後者は社会科教育で取り扱われることが多い。しかし、理科教育は、自然の不変の原理、法則、概念等の学習が中心であり、エネルギー概念を主眼にしているわけではないため、人々が卒業後に正しいエネルギー概念を形成できているかどうかは疑問である。このため、関西在住の人々を対象にエネルギー概念の形成状況についてアンケート調査を行った。 この結果、多くの人々がエネルギーとエネルギー資源を混同しており、エネルギーの保存や転化に対しても誤解をしていることがわかった。
  • 山本 一也, 高橋 啓三, 竹内 健一, 藤田 聡志
    セッションID: J17
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    原子力緊急時にオフサイトセンターにおいて防災活動の中心となる合同対策協議会機能班の要員を対象として緊急時対応力を維持,向上させることを目的とした訓練シミュレータを開発した。
    訓練機能として,防災活動全体の流れを把握させる新任者向けの独習訓練と,防災活動時のコミュニケーションと判断能力向上に重点を置いた連携訓練(マルチキャスト)訓練の2種類を備えている。
  • 門野 真一郎, 別所 泰典, 中込 良廣
    セッションID: J18
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づいて設置されているオフサイトセンターの今後の方向性につき情報化社会の進展に対応した通常時及び非常時の情報入手、情報共有のあり方を提案した。
倫理
コミュニケーションの問題点
  • 高橋 玲子, 中込 良廣
    セッションID: J24
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    国が人々との間に実施しているエネルギー政策に関する対話の現状の課題を、政策文書および世論調査等の結果に基づき抽出した。その分析を元にして、今後の対話に資する具体的な取組みの例として、「生活の視点を持つコミュニケーターの設置」と「セグメントごとの特徴に考慮した対話の実施」を示した。
  • 田辺 章
    セッションID: J25
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    原子力のコミュニケーションの問題は関係するセクターが多く相互にフィードバックがかかり問題の本質が分かりにくいので、具体的解決案を見つけにくい。そこで小トラブルがコミュニケーションのやり方により大きな問題(事故)と解釈されてしまう事例について、定性システム・ダイナミックスを用いて分析した。 定性システム・ダイナミックスは関係する要素を書き出しそれらを正負の矢印で結ぶ事により、関係者のメンタルモデルを図式化し、現状認識の共有化を図るとともに問題点の抽出を図ることが出来、さらに解決案を見つけようとするものである。いくつかの図を作成し分析した結果、地方自治体やマスコミに対し誤解を与えないためには小さなトラブルでも最新のITを用いてすばやく現場から情報公開すればよいことが分かった。
  • 事例研究に基づく考察
    蛭沢 重信
    セッションID: J26
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    事業の長期性による不確実性の存在下で、高レベル放射性廃棄物(HLW)の取り扱いに関する意思決定はどのように行われていくのが望ましいかについて考察した。類似の経験事例の研究に基づき、共通事項の抽出を試みた。HLWの地層処分事業は、不確実性を内包し、遠い将来世代にまで潜在的な影響が及ぶという性格を持つため、社会がどのようなアプローチと基準を持って判断を下すか、という今まで経験したことのない社会的影響の大きい課題である。この状況を正しく認識した上で、どのような取り組みが望ましいかを議論することが、HLW処分に限らず広く社会の意思決定課題へも寄与すると期待される。
  • 竹内 光男, 奥山 茂, 大久保 博生, 森田 清紀, 生駒 要
    セッションID: J27
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    地層処分事業は、100年以上の長期にわたる特徴から、合意形成の対象として現在の若年層も重要である。本研究では、若年層に対する効果的なコミュニケーション手段として携帯電話に着目し、モニタ調査にもとづく無関心層の分布や情報伝達の効果に関連する要因の分析と、携帯電話の適用性について考察した。その結果、若年層は中高年層と比較して無関心層の割合が高く、コミュニケーションの対象として重要であることがわかった。また、携帯電話は、若年層に対する意識向上や合意を得るための啓蒙手段として有効である一方、中高年層には、知識レベルの更なる向上を目指し、理解を求めていく方針も想定され得ることを明らかにした。
教育
  • 広報チーム「スイートポテト」出張授業
    今井 綾, 山口 美佳, 坂本 純子, 田中 弓子, 水谷 朋子, 中田 理沙, 小守 裕子, 郡司 郁子, 米澤 理加, 菖蒲 順子, 菊 ...
    セッションID: J28
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    東海事業所広報チーム「スイートポテト」は、原子力を身近にわかりやすくするために女性の視点や感性を活かし、広報活動に反映することを目的に平成8年女性職員により結成された。主な活動の1つとして若年層にエネルギーや原子力、放射線などに対して正しい知識や関心を持ってもらい原子力への理解促進を図ることを目的として、近隣小中学校への出張授業を実施した。
  • 大野 新一
    セッションID: J29
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    学校,大学教養課程,一般市民を対象とする原子力・放射線教育では,断片的な知識ではなく,もっぱら考え方の基本を中心にすべきではないか。一般的に言って,原子力・放射線についての知識は両親,学校の教師,インターネット,新聞雑誌(マスコミ),専門の科学・技術者(いわゆるセミナーなど)から受けるものである。受ける側が,知識をそのまま信ずるかどうかを考えてみる必要がある。知識を受けるさいの年令に依存するが,両親,学校の教師,セミナーの講師などから受けた知識は,何らかの形で自分で確認してはじめてその人(社会人になった人)の知識となるものと思われる。自分で知識の内容を確認する方法としては,インターネットや書籍・新聞雑誌でしらべるのが普通ではないであろうか。しかし自分で考えることがない限り,分かったとは言えないことが重要である。原子力・放射線教育ではもっぱら考え方の基本を中心にすべきではないか
  • 松浦 辰男, 関本 順子, 高木 伸司
    セッションID: J30
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    2004年5月現在使用中の高等学校教科書における原子力関係の記述について調査した。昨年度から新設の「理科総合A」などでも仔細に見ると不正確で改善すべき点があること,文系の「現代社会」などでは、以前同様原子力に不安を抱かせる記述が少なくないが,ディベート方式で生徒に考えさせるものが増えてきたことがわかった。
  • 卒業研究が学生に与える教育効果
    三浦 彩美, 山中 伸介, 宇埜 正美, 米谷 淳
    セッションID: J31
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    理系研究室における卒業研究および修士論文研究は、学生を研究業績をあげるための労働力としてつかっているという穿った見方をされる傾向があった。しかしながら、これまで卒業研究そのものが学生にとってどのような教育効果を及ぼすのかについてあまり評価されることはなかった。金沢大学等における調査研究から卒業研究が学生の資質や能力の向上に大きく貢献していることがわかっており、大学院の今後のカリキュラム改革につなげていく意味でも、卒業研究の教育効果を客観的・定量的にとらえ直してみる必要がある。本研究では、卒業研究への取り組みの直前(10月)と直後(2月)にアンケート調査を実施し、卒業研究の教育効果について分析・検討することを試みた。
基礎研究
政策
  • 深江 千代一
    セッションID: J37
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
     原子力発電が地球温暖化の原因になると考えている人はほぼ半数にも上っているが、これがどのような認識、背景に導かれるのかを探るため、原子力発電と地球温暖化に関する人々の意識を調査した。その結果、原子力発電が地球温暖化の防止とする考えには原子力発電が発電時に二酸化炭素を排出しないという正しい知識の有無が影響していた。一方、原因とする考えには、原子力発電所から出る放射性物質が影響するとの誤った認識の影響が最も大きく、この誤解は原子力発電に対するネガティブなイメージによるものであると考えられる。また、地球温暖化に影響を与えるものとして多くの人が「紫外線」を挙げており、地球温暖化の仕組みはほとんど浸透していない。さらに、地球温暖化には「フロン」や「オゾン」などの物質が関係するとした回答が多いことから、酸性雨やオゾン層の破壊といった他の地球環境問題と混同しているものと推測される。
  • 総論
    田下 昌紀, 池田 一三, 関本 博, 松井 一秋
    セッションID: J38
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    環境と経済性からエネルギー全体を最適化するアプローチにより、環境、経済(エネルギーを含む)および原子力において重要な要素をパラメータとして炭素税、平均発電コストおよび原子力発電量を各地域について評価した。計画経済のもとで2030年頃から本格的に導入されると想定した場合、原子力は、石炭で同じ熱エネルギーを発生した場合の約6GtC分を抑制できる。市場経済の場合には発電コストが安い化石燃料がまず利用され、LWRの拡大も遅延する。また新規技術あるFBRの発電コストが導入当初LWRにくらべ高いと、ウラン資源が不足するまで導入されず、2050年頃の導入となった。この結果、超長期最適化を目指した計画経済であれば2100年の原子力発電は3900GWeであるが、2500GWeまで縮小した。市場経済のもとで原子力は拡大しにくいが、CO2排出量削減に大きな効果があり、長期的な視野に立った世代間の公平が図られるような制度が必要であり、また原子力の役割を持続可能にするにはFBRの発電コスト低減が重要である。
  • 原子力のクリーン開発メカニズムにおける重要性
    池田 一三, 田下 昌紀, 氏田 博士, 波多野 守
    セッションID: J39
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、黒沢らが開発したGRAPEをもとに、市場経済に近いモデル(OLG法)を作成し、2つのCO2制約のケース、コストで最小となる最適化な地域で排出量を削減するケース1、先進国に京都議定書の制約とそれ以降10年で5%削減を継続するケース2を比較した。京都議定書を拡張したケース2の場合途上国では2050年まで発電コストの低い石炭発電が利用されるため、LWRの導入が進まず、他方、先進国では排出量を削減するため、原子力の利用が促進され、ウラン資源1500万トンの大半は先進国で利用される。途上国の排出量も削減することが必要となる2050年以降で途上国ではウラン資源およびプルトニウムが不足し、ケース1にくらべ原子力の利用が1/3に低く、2100年の発電コストは2セント/kWh高くなり、地域間のエネルギーコストの違いも拡大する。これを避けるために原子力をクリーン開発メカニズムに加えられるようにし、途上国の原子力利用を促進するべきである。
  • 核燃料サイクル開発計画の展望
    氏田  博士, 青木 和夫, 松井 一秋, 関本 博
    セッションID: J40
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    2100年においてFBRが全一次エネルギー需要の60%を占める。Puの増殖には長時間を要するために2030年ごろからFBRが導入され始め、それ以降は年25基程度のプラント建設が必要とされる。核燃料サイクルを確立するための研究開発及び「技術の実証」に要する期間は30年くらいと想定でき、そのためには2000年には概念設計及び技術開発を開始しておく必要がある。途上国に将来の大きなコストを受け入れても、FBR導入の遅延は2050年までが限度であろう。廃棄物の処理や核不拡散の問題に加え、長期的視点を取れば、循環型社会を構築し資源の有効活用を考えるべきである。
  • 笹尾 信之
    セッションID: J41
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    昭和29年、わが国に原子力予算が登場して以来、半世紀を経ようとしている今日、開発初期段階の方針決定にいたるその足跡をたどることで、これからの新しい展望を得る手がかりを求める。
  • 効用関数の推定方法
    松田 年弘, 吉川 榮和
    セッションID: J42
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    原子力発電の発電コストは固定費の割合が高いことから、火力電源に比べると、輸入燃料価格の変動の影響を受けにくい。このため、原子力発電は電力価格の安定化に一般に貢献していると言える。原子力発電の導入によって価格安定化がもたらされる価値の定量的評価については、ポートフォリオ理論を用いた分析が多くの研究者によって試みられてきた。しかし、同分析の過程で公衆の効用関数の推定が必要とされるが、この課題は解決されずに残されたままであった。本研究では、コンジョイント分析を用いて、価格水準と価格変動リスクを変数とした公衆の効用関数を推定する一つの方法を示す。また、関西地域で実施したアンケート調査結果から、実際に効用関数を推定した結果を示す。
  • 福山 繁, 中込 良廣
    セッションID: J43
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    INESは世界約60カ国で運用され、原子力に係る事故等の影響を速報する手段として定着している。本稿では、INESについてこれまで10年を超える運用実績から生じた種々の状況を踏まえ、今後改善すべき諸点を抽出し、安全指標の特性面から改善策を提案した。
第II区分 放射線工学と加速器・ビーム科学
原子核物理,核データ,核反応工学
中・高エネルギー核データ
核反応理論・実験
  • 高嶋 隆太, 早田 敬太, 長谷川 秀一, 加藤 和之, 根本 孝七
    セッションID: E05
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    近年,超高強度レーザーと高原子番号のターゲットとの相互作用により高エネルギーのγ線が生成されることが報告されている.このγ線を用いてアクチニド等の核分裂の実験的実証がなされた.特に光核反応による長寿命核種の核変換が注目されており,Tc-99やI-129の光核変換の実験が行われている.そこで本研究では、長寿命核種の一つであるCs-135に注目し,超高強度レーザーによる光核変換の可能性を理論的に評価した.その結果,現在のレーザーシステムにおいてもCs-135の光核変換は可能であるが,Cs-134の半減期が2.1年であることから壊変時の計測が困難であることがわかった.さらに,集光強度や繰り返し周波数などのレーザー技術の進歩により,核反応数が増し計測を含めた一連の実験がより現実的になることがわかった.
  • 太田 雅之, 中村 詔司, 原田 秀郎
    セッションID: E06
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
    会議録・要旨集 フリー
    長寿命放射性廃棄物のうちマイナーアクチニドを、核分裂反応により安定核種あるいは短寿命核種に核変換できれば、地層処分における負荷を低減することができる。核分裂結果が理論的に予測できれば、核変換研究において有効な評価手段となり得る。核分裂を解析する理論モデルの一つに、「選択チャンネル核分裂(SCS)モデル」がある。SCSモデルは、核分裂を分裂チャンネル毎に扱い、チャンネルに依存した核分裂障壁を求めることで、決定論的に核分裂収率を求めることができるモデルである。しかしながら、現在のSCSモデルでは理論的にチャンネル依存核分裂障壁の値を求めることができないという問題がある。理論的に核分裂障壁を求めることができれば、SCSモデルで任意の核種の核分裂結果を予測することが可能となる。今回は理論的にチャンネル依存核分裂障壁の値を求める準備として、236Uに対してチャンネル依存核分裂障壁を、核分裂収率データから評価した。
  • 西尾 勝久, 池添 博, 永目 諭一郎, 浅井 雅人, 塚田 和明, 光岡 真一, 鶴田 薫, 佐藤 健一郎, C.J Lin, 大沢 孝 ...
    セッションID: E07
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/19
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    サブバリヤエネルギー領域における16O+238U反応の蒸発残留核断面積を測定した。実験値は、融合過程で238Uの変形効果を取り入れた統計モデル計算でよく再現された。238Uの変形によってサブバリヤー領域で融合確率が増大することを明らかにした。
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