抄録
長寿命放射性廃棄物のうちマイナーアクチニドを、核分裂反応により安定核種あるいは短寿命核種に核変換できれば、地層処分における負荷を低減することができる。核分裂結果が理論的に予測できれば、核変換研究において有効な評価手段となり得る。核分裂を解析する理論モデルの一つに、「選択チャンネル核分裂(SCS)モデル」がある。SCSモデルは、核分裂を分裂チャンネル毎に扱い、チャンネルに依存した核分裂障壁を求めることで、決定論的に核分裂収率を求めることができるモデルである。しかしながら、現在のSCSモデルでは理論的にチャンネル依存核分裂障壁の値を求めることができないという問題がある。理論的に核分裂障壁を求めることができれば、SCSモデルで任意の核種の核分裂結果を予測することが可能となる。今回は理論的にチャンネル依存核分裂障壁の値を求める準備として、236Uに対してチャンネル依存核分裂障壁を、核分裂収率データから評価した。