抄録
SPring-8において、アンジュレータからの放射光強度は、毎秒1013個におよぶ。こうしたX線ビーム強度のモニター方法は確立していない。以前、小型の自由空気電離箱を開発し、アンジュレータ放射光に対しその直線性を確認した。今回は、気体蛍光の放射光に対する特性を調べた。気体は、アルゴン等を用いた。近紫外光以外の方が寄与が大きいことを確認したため、通常の光電子増倍管およびフォトダイオードを用いた。実験は、SPring-8にて8-30keVX線に対して、上記小型電離箱をモニターに行った。アルゴン蛍光の応答値は、モニター電流値が10nAを越えると感度が次第に増大した。また、この増大の程度は、窒素混合アルゴンの方がより大きくなった。励起アルゴンは窒素を励起し、その窒素が蛍光を発するため、アルゴンの感度増大は窒素混入の影響と思われる。窒素蛍光は優れた直線性が確認されたが、感度がアルゴンの4%と小さいことが欠点である。