抄録
ウランを含む軽アクチニドが高速の2組の酸化還元対を有する性質を利用して、ウラン・レドックスフロー電池の研究を行っている。充電状態における負極活物質である非プロトン性溶液中のウラン(III)について、可視紫外吸収分光による測定例が少なく、安定性等の知見がない。そこで本研究では、非プロトン性溶媒を用いたウラン(IV)錯体溶液から出発し、電解による調製法とZn−アマルガムによる還元法とによりウラン(III)溶液の調製と安定性についての知見を得ることを試みた。実験は、不活性ガスグローブボックス中において行った。電解およびZn−アマルガムによる還元において、ウラン(IV)の吸収帯の強度の減少と、新たな吸収帯の成長を確認した。これらの吸収帯の位置はDrozdzynskiの報告と一致しており、どちらの調製法を用いてもウラン(III)溶液を得られることが判明した。