抄録
γ線や原子炉照射においては、照射環境下の試料周辺にある容器などの固体材料とγ線が相互作用(コンプトン効果や光電効果等)することによって二次電子や光子が発生する。このような二次電子と光子が、γ線による試料の照射損傷にさらなる影響を与えることがわかっている。本研究では、この二次電子と光子によってシリカガラスに付与されるエネルギーに着目し、周辺の環境による試料内の欠陥生成に及ぼす影響を定量的に議論することを目的とし、シリカガラスを金属板で挟みこみ、γ線照射を行った。照射前後の紫外可視光吸収スペクトル測定とシミュレーションコードMCNPを用いた計算の結果、金属板から発生する二次電子と光子によって単位時間当たりにシリカガラスに付与されるエネルギーが増加し、欠陥の生成量を増加させることがわかった