抄録
本研究では、[11C]-RACを用いたPET画像に基づくD2受容体の分布の変化を観測することにより、脳内ドーパミンの放出量変化を間接的に計測する方法の開発を目的とした。ドーパミン放出量変化の測定法開発の前段階として、[11C]-RACを用いたPET画像解析の手段として通常用いられるSimplified Reference Tissue Model(SRTM)解析の他に、2段階でSRTM解析を行う方法(Two Step Method of SRTM; SRTM2)との比較を行い、より定量性の高いパラメトリック画像を作成する手段の検討を行った。SRTMとSRTM2による解析結果を比較したところ、SRTM2による解析の方がパラメータの収束性がよいことが確認された。今後は、3人の健康な被験者に対して行われた通常時・運動負荷後の[11C]-RACによるPETデータを用いて、ドーパミン放出量の変化を計測する方法を検討する予定である。