抄録
高エネルギー分解能・高検出効率のInSb放射線検出器を製作するために,これまで市販品のundoped InSbウエハーを用いてSchottky検出器を製作し,ガンマ線測定を行った.検出器の空乏層が薄く光電ピークを得ることができなかったが,十分な空乏層厚さを得るためには,高比抵抗・低キャリア濃度のInSb結晶を必要とする.また,放射線検出器において結晶中の不純物によるキャリアのトラップは,エネルギーの正確な測定を困難にする.そのため高純度の結晶を必要とする.そこで垂直ブリッジマン法によって純度の異なる原材料を用いて結晶育成を行った.高純度の原材料で結晶育成を行ったInSb結晶は,Hall効果測定によって市販品に匹敵する高抵抗・低キャリア濃度であることが確認できた.